カワイ・レナード

ここ5試合のカワイはフィールドゴール成功率60.2%

クリッパーズは現地12月12日に攻撃力自慢のキングスを99得点に抑え、119-99の快勝で連勝を5に伸ばした。開幕後のジェームズ・ハーデン獲得から6連敗を喫したが、その後は10勝3敗と上向き。指揮官タロン・ルーが選手たちに説く「忍耐」が実を結び始めている。ルーは言う。「出だしは苦しかったが、これで良い。選手たちは練習のたび、試合のたびにチームがより機能する方法を探し、理解しようとしている」

長らくカワイ・レナードとポール・ジョージのチームだったクリッパーズでは、2人が交互にアイソレーションを仕掛けるのが定番だった。ハーデンの加入で、彼が早くチームにフィットできるようにカワイもジョージも当初は一歩引いたのだが、お互いに遠慮するようでは個の力を削ぐ結果にしかならない。ただ、連敗が続く中でも彼らはお互いの持ち味をどのタイミングでどれだけ出すのがベストなのかを探った。複雑な方程式ではあるが、ラッセル・ウェストブルックがベンチスタートを受け入れたことで回答に大きく近づき、今に至る。

指揮官ルーが今掲げるコンセプトは『新しい自分』だ。それぞれの選手が『新しい自分』を見いだし、それをチームの勝利のために使う。成功のカギはすべてをシンプルな方向に変えること。いくらカワイやジョージでも、アイソレーションで得点を奪うのは簡単ではない。今はよりオープンなチャンスを作り出し、より簡単に得点を奪うことを全員が意識している。カワイもジョージも攻撃の起点はハーデンに委ねることが多いものの、それ以上は遠慮をせずに自分らしさを発揮する。「以前の2人はすべてのシュートを決めなければいけなかったが、今は違う。ジェームズやラス(ウェストブルック)がいて、シュートチャンスを作ってくれる」とルーは言う。

その流れができて絶好調なのがカワイだ。この5連勝中の彼は28.6得点を記録。フィールドゴール成功率は60.2%で、3ポイントシュート成功率も51.9%と極めて効率良く得点を奪っている。キングス戦では29点リードで迎えた第4クォーターはプレーしなかったが、31分の出場で31得点を挙げた。

長らく避けてきた2日連続のプレーも、今のカワイは苦にしない。前夜のトレイルブレイザーズ戦では34得点、キングス戦では31得点とフル回転しているが、彼は「僕が当たっていない日には、別の誰かが代わりにやってくれる」と言う。

チームの好調の理由についてカワイは、ディフェンスマインドとローテーションだと語る。「僕らは全員がディフェンスから試合に入って、自分のリズムを高めていく。そこからノーム(ノーマン・パウエル)のような得点力のある選手がベンチから出てきたり。どの試合でも同じ戦い方をするつもりはない。僕が活躍する試合もあるし、別の誰かが活躍する試合もある」

お互いを知り、その中で自分のプレーにわずかな変更を加えてチームとして機能させる。傲慢になりがちなスタープレーヤーがチームの勝利を優先して『新しい自分』を探求することに、指揮官ルーは満足している。「6連敗していた時期でさえ、このチームが正しい方向に進んでいる感触はあった。今のチームの雰囲気が私は好きだし、これからもっと良くなっていくよ」