指揮官マローン「我々にとって彼は不可欠な存在だ」
ブルズvsナゲッツの第2クォーター終盤、ニコラ・ヨキッチは退場処分を受けた。ポストアップから反転してリムへと向かったヨキッチは、ニコラ・ブーチェビッチの守備に阻まれる。ブーチェビッチに押されたと感じたヨキッチは、ファウルの判定をもらえなかったことにカッとなって審判に何かを言ってしまった。
試合後のヨキッチは何を言ったかの質問に回答せず、「これまでにも何度か使った言葉なんだ。その時はテクニカルファウルももらわなかったんだけど」と語るに留めた。
ヨキッチの退場はピストンズ戦に続いて2度目。それでもナゲッツは前回に続き、今回も残ったメンバーの奮起により勝利を収めている。アーロン・ゴードンは14得点7リバウンド6アシストと攻守にチームを引っ張り、試合後にはこう語る。「ゲームプランは変わったけど、このチームにはタレントが揃っている。ネクスト・マン・アップの精神があるんだ」
ヨキッチの退場でプレータイムが25分に伸びたディアンドレ・ジョーダンは10リバウンドを記録。バック・トゥ・バック(2日連続の試合)の2日目で、足首に痛みを抱えるジャマール・マレーも欠場する状況で、ルーキーのジュリアン・ストローサーが16得点6リバウンド3アシストと活躍したのも大きかった。こうしてナゲッツはヨキッチとマレーの2枚看板を欠いたにもかかわらず、ブルズに一度も追い付かれることなく114-106で勝利している。
ナゲッツを率いるマイケル・マローンは「ジャマールが不在でニコラを欠き、(ケンテイビアス・コールドウェル)ポープも抜けた(相手との接触で顔面を強打し、しばらくロッカールームで治療した)。主力を欠いた時に多くの選手がステップアップし、チームに必要な役割を果たしてくれた。素晴らしい個性を見せてくれた選手たちを誇りに思うよ」と語る。
ヨキッチの退場については「彼が何を言ったかは審判から聞いたが、私には何が問題なのか分からなかった。普通の言葉だったからね」と言い、こう続けた。「ただ、彼がイライラしていたのは確かだ。我々にとって彼は不可欠な存在だ。そのことはハーフタイムに彼に伝えた」
前年王者は16勝9敗と好調だが、シーズン序盤で2度に渡るヨキッチの退場は今後のナゲッツにとってトラブルの種となるかもしれない。ヨキッチは温厚で愛嬌がある性格なのだが、キレやすい一面も持ち合わせている。2度のシーズンMVPに続いてファイナルMVPに輝いた彼を止められないとなれば、相手チームがヨキッチのイライラを誘うプレーを仕掛けてくる可能性はある。2度の退場劇が「ヨキッチは態度に問題がある選手」とのイメージをレフェリーに植え付けることになれば、事態はさらに悪化するだろう。
今回の場合、ヨキッチの言葉が問題だったのか、一発退場という判定の是非は問われるところだが、退場するまでの16分で4得点9リバウンド6アシストと活躍し、チームもリードしていて、ブーチェビッチの守備も相手をケガさせるような危険なものではなく、キレるようなシチュエーションではなかった。『チームに欠かせない選手』としての自覚を持てるかどうか。ヨキッチの精神的な成熟が問われる。