竹内公輔

エドワーズ不在の穴を埋める見事な働きで連勝に貢献

宇都宮ブレックスは横浜ビー・コルセアーズ戦に連勝し、バイウィーク前から続く連勝を6に伸ばした。

第1戦は鉄壁のディフェンスで前半を39-17と圧倒し、そのまま押し切ったが、第2戦は最終クォーター残り6分で2点差と接戦に。それでも、D.J・ニュービルが勝負強さを見せて得点を量産すると、ディフェンスもここ一番の集中力でラスト6分間を無失点に抑えて快勝した。

佐々宜央ヘッドコーチは「D.Jが決め切ったところはあります」と後半だけで25得点を挙げたニュービルの決定力を勝因に挙げた。しかし、「リバウンドのところのハッスル具合でどっちがフォーカスしたか。ウチの選手を誇りに思いました」と続けたように、オフェンスリバウンドで18-10、セカンドチャンスポイントで25-8と圧倒した点をさらに強調した。

12月2日の試合当日、宇都宮はギャビン・エドワーズが練習中に負傷し、全治未定の左大腿直筋肉離れのリリースを出した。バイウィーク明けの大事な節に帰化選手のエドワーズを失ったことは大きな痛手のはずだった。しかし、その穴を竹内公輔が完全に埋めた。竹内は第1戦で今シーズン初の先発出場を果たすと、約28分間のプレータイムで2得点11リバウンド(3オフェンスリバウンド)1ブロックを記録。続く第2戦も先発で起用され、30分のプレータイムで5本中4本のフィールドゴールを成功させて8得点、さらに6本のオフェンスリバウンドに1ブロックショットとインサイドで力強いプレーを見せた。

この試合はニュービルがゲームハイの28得点を挙げ、比江島慎が14得点で続いたが、2桁得点はその2人のみだった。中心選手が結果を出すことはチームにとって理想的と言える。だが指揮官は竹内の名前を出しつつ、数字に表れない部分で貢献している選手の存在を強調する。「きっかけ作り(ハンドラー)をしている人たちがアタックして得点を取るのは良いと思います。ただ、ディフェンスとかリバウンド、スクリーンをかけるところは本当に公輔もこの2試合素晴らしかったですし、アイザック(フォトゥ)やGJ(グラント・ジェレット)も身体を張ってくれました。意地を見せた戦いで素晴らしかったです」

竹内公輔

日本人ビッグマンにとって「公輔はお手本になる存在」

佐々ヘッドコーチは序盤から圧倒した横浜BCとの第1戦を理想的とし「昨日が1番、本当にやりたいバスケットができていた」と評価した。そして、今回の2試合に関して「公輔の良さをどれだけ出すかというのも意識した」と明かした。竹内の個人スタッツはお世辞にも高いとは言えない。では何故、彼の良さを意識したこの2試合が今シーズンの中でベストに近いパフォーマンスとなったのか。佐々ヘッドコーチは言う。

「皆さんが思ってる以上に、当たり前のことを当たり前にやれる選手は評価されますし、そういう選手は意外に少ないです。公輔はそういうタイプです。ギャビンは運動能力や身体能力がありながらも、動きがまだ慣れていないからチームとしてズレたり、ちょっと合わない時がありますが、公輔はその当たり前のことを当たり前にやれます。ギャビンがケガした直後のこの2試合で、公輔が本当に当たり前の仕事を当たり前にやってくれたことは評価するべきです。多分、みんなもその感覚はあると思います。彼も今、すごい責任感を持ってやっているので信頼していますし、今後も期待します」

また佐々ヘッドコーチは、竹内が自信の存在意義を確立することで、出場機会が失われつつある若手ビッグマンたちの道しるべになることを狙っているとも言う。

「今、なかなか日本代表のビッグマンがBリーグの試合で30分出るという状況が他のチームにはないですし、ある意味これもチャレンジかな。代表にいた川真田(紘也)とか吉井(裕鷹)、(井上)宗一郎もそうだし、頑張ればそういうところで貢献できるんだと。今は代表に絡んでないですけど、日本人ビッグマンも頑張れるという意味で公輔はお手本になる存在かなと思います」

ここまで、10分に満たない平均プレータイムだったものの、いきなりの先発起用で大きな結果を残した竹内。彼の献身性や安定性は当たり前に宇都宮の力となっている。