八村塁

ラビーン獲得に成功すれば『レブロン以後』のエースに

ブルズは2017年オフにジミー・バトラーを放出。ここから再建に入ったが、その後の道のりは苦難の連続だ。若手中心の再建はなかなか軌道に乗らず、4年連続でプレーオフ進出を逃す。2011年オフに方針転換し、ザック・ラビーン、前シーズン途中に獲得したニコラ・ブーチェビッチに、デマー・デローザンとロンゾ・ボールを加入させて、東カンファレンスでも屈指のタレントをそろえた。ただ、この豪華布陣も機能せず。1年目はプレーオフに進出するもファーストラウンドでバックスに完敗。2年目の昨シーズンはプレーイン・トーナメントでヒートに敗れた。

昨シーズン途中でチームが解体されてもおかしくはない状況、フロントはこの体制が機能すると信じて3年目に賭けたが、その判断は開幕から1か月あまりで5勝14敗という結果により、間違いだったことが明らかとなった。

バスケットボール事業副社長のアルトゥラス・カルニショバスは「みんなが見ているものを見て、私も同じように失望している。ただ逃げ出すつもりはない。これは私の責任だ」と語る。ロンゾがケガの再発を繰り返しているのは予想外としても、カルニショバスの編成担当としての成果はゼロに等しい。デローザン、ラビーン、ブーチェビッチの『ビッグ3』の可能性を信じ続けてきた彼も、今度こそチーム改革に乗り出すはずだ。

『ビッグ3』で最も市場価値が高いのはザック・ラビーンだ。昨年オフにマックス契約を結んだばかりだが、28歳の彼はこれからキャリアの全盛期を迎える。キャリア平均38.2%の3ポイントシュートを始め、どこからでも得点を奪うことができ、どのチームに行ってもエースの重責を果たせる彼は、来シーズン以降3年1億3800万ドル(約200億円)の大型契約に見合う価値のある選手だ。

そのラビーンにレイカーズが興味を示していると言われる。レイカーズも開幕から10勝8敗と、勝ち越してはいるが西カンファレンスのライバルには遅れを取っている。昨シーズン途中の大幅な選手の入れ替えでチームを立て直すと、その体制を継続させたが、スタートダッシュには失敗した。ピンポイントでの補強に乗り出すとすれば、狙いはラビーン獲得による得点力アップであり、守備に長けたロールプレーヤーであるアレックス・カルーソの復帰だ。

そのためにはブルズが納得するだけの交換要員が必要となるが、それはオースティン・リーブスと八村塁と見られている。リーブスは今オフに4年契約を結んだばかりだが、今シーズンに入ってパフォーマンスを落としている。昨シーズン途中に加入した八村はセカンドユニットの得点源になっているものの、ラビーンほど安定してオフェンスで結果を残せるわけではない。

レイカーズはレブロン・ジェームズとの契約が来シーズンまでで、その間に優勝の可能性をできる限り高める必要がある。ロブ・ペリンカGMは今夏、「若手のコアの維持が最優先」と語り、若手を揃って残留させたが、常勝を義務付けられた名門は、若手を犠牲にして勝利を追い求めることを繰り返してきた。ラビーンのようなタレントが市場に出るとなれば、少なくとも獲得を検討せざるを得ないのがレイカーズなのだ。

カルーソ復帰をブルズの誰もが望むのは、2021年オフに彼を放出したことを悔やんでいるからだ。そしてラビーン獲得が実現すれば、『レブロン以後』のチームの核にも据えられる。ブルズの解体が避けられない情勢でレイカーズは変革へと踏み切るか。今すぐに動くことはなくても、2月8日のトレードデッドラインを見据えて各チームの様々な思惑が交錯することになる。