ルカ・ドンチッチ

攻めのパターンを増やすか、ディフェンス強化か

昨シーズンのマーベリックスは西カンファレンスの11位に沈み、プレーインも逃しました。今オフはカイリー・アービングとの再契約こそしたものの、ドラフトで若手ビッグマンの指名に加えてグラント・ウィリアムズやデリック・ジョーンズJr.などディフェンシブな選手を補強してきました。これで弱点のディフェンス面を埋めるのかと思われましたが、シーズンが始まってみれば平均119.4得点とオフェンスが好調で10勝6敗の好スタートを切りました。

チームとして徹底してきたのはパスアウトから3ポイントシュートを打ち切る形で、リーグ最多となる43.2本のアテンプトを誇っており、特にコーナーからの3ポイントシュートは12.6本とコートを広く使えています。コーナースリーのアテンプト数はスターターのウィリアムズとジョーンズJr.が個人としてもリーグ4位と5位、ベンチから出てくるジョシュ・グリーンが13位、ティム・ハーダウェイJr.が17位となっており、ルカ・ドンチッチとアービングを中心とした形が整理されました。

しかし、開幕から10試合が経過する頃から対策を立てられることも増え、ここ6試合は2勝4敗と苦しみ始めており、この間の得点は111.7と下がっています。相手ディフェンスはカバーリングのポジションを取っていてもパスが出た瞬間にコーナーへ追いかけるなど、プレーが読まれて3ポイントシュートの成功率が落ちてきたことが最大の要因で、そうなるとドンチッチとアービングが自分で打つ選択が増え、個人技に依存する時間帯が目立ち始めています。

ドンチッチとアービングという個人技で任せられるエースがいることで、接戦の終盤で強さを発揮するのもマブスの特徴ですが、6敗のうち5敗が2桁点差での敗戦となっており、終盤勝負にたどり着く前に失速するのが負けパターンになってきました。現在、平均得点で1位のペイサーズ、2位のホークスはいずれも2桁得点が7人いて、チームの得点力はバランスアタックが重要であることが明確ですが、マブスで2桁得点を挙げているのは4人しかおらず、1試合を通して得点力で打ち勝つのは苦しいようにも見えます。

昨シーズンのマブスは12月までを21勝16敗と勝ち越し、1月以降は17勝28敗と失速してしまいました。それはケガによる欠場も含めたドンチッチ個人の失速とも重なります。コートを広く使いパスアウトから3ポイントシュートを徹底したのは、エースの負担を下げる目的だったはずですが、上手くいったが故に対策され、狙いとは裏腹にエースの負担が増えています。開幕1カ月で4つの勝ち越しと焦る状況ではないだけに、この余裕を使って新たなオフェンスパターンの導入や、ディフェンス強化へのシフトなど、次のステップに進む必要がありそうです。