ルカ・ドンチッチ

49得点10リバウンド7アシストと大暴れ

最大リードはネッツが7点、マーベリックスが6点と、どちらにも試合の流れが傾くことのない緊迫した展開となったマブスvsネッツは、最後にクラッチ力の差が出た。ラスト3分で4本の3ポイントシュートをすべて決めたルカ・ドンチッチは、試合を通じて49得点10リバウンド7アシストと大暴れ。粘るネッツを振り切って125-120と、ホーム開幕戦で大きな勝利を挙げた。

第4クォーターも残り30秒を切り、120-120と同点の場面でドンチッチが素晴らしいパフォーマンスを締めくくる『ルカ・マジック』を見せる。ネッツが素晴らしいプレッシャーディフェンスでドンチッチにアタックするコースを与えず、ボールを手放すよう仕向けるのだが、マブスの他の選手がボールを持っても、その時点でシュートが当たりに当たっているドンチッチへとすぐパスを返す。

右45度の狭いエリアでドリアン・フィニー・スミスとロイス・オニールに囲まれたドンチッチにできるプレーの選択肢はほとんどなかった。ショットクロックは残りわずか。シチュエーションとしては完全にネッツのディフェンスの勝利だったのだが、ドンチッチはファウルのできない相手との間合いを取りつつ、右手だけで強引にシュートを放つ。これがボードに当たってリングに吸い込まれ、122-120とマブスが勝ち越した。

ヘッドコーチのジェイソン・キッドは「タイムアウトを使おうか一瞬迷ったが、取らなくて正解だった」と笑う。「ああいう厳しいシチュエーションが好きな選手というのは存在するが、ルカはまさにそんなタイプだ。あのプレーをどう説明すればいいのかは分からないが、結局のところ彼は徳悦なのさ」

ドンチッチはこのシーンを振り返り「ショットクロックは残り3秒だったか2秒だったか、『上げろ!』と叫ぶ声が聞こえた。リムに当てればオフェンスリバウンドのチャンスが生まれる。そう思って放ったんだ」と語る。どんなシュートと表現すべきかと聞かれると「ちょっとフックシュート、完全にフックシュートというわけじゃないけど」と答え、「どうやって決めたのか僕にも分からないよ」と続けた。

フィニー・スミスは昨シーズン途中まで5シーズンに渡りドンチッチとプレーして、そのプレーは熟知している。「ルカのとんでもないシュートはこれまで何本も見てきた。必死の抵抗で厳しいシチュエーションにまで追い込み続けて、何とか50得点されずに済んだ」と苦笑いを浮かべる。

フィールドゴール成功率と成功本数、3ポイントシュート成功率と成功本数、リバウンドにアシストと、主要スタッツのほとんどでネッツが上回った。特にアシストはマブスの20に対してネッツは30と差が付き、チームプレーの内容としてはネッツに分があったところを、ドンチッチのスターパワーで強引に押し切っての勝利だった。ただ、勝負どころでドンチッチ一辺倒であっても彼を快適にプレーさせ、そのポテンシャルを引き出したという点でマブスは上回った。

これでマブスはスパーズとの開幕戦に続いて2連勝。一方でネッツは連敗スタート。開幕戦ではキャバリアーズのドノバン・ミッチェルに、そしてこの試合ではドンチッチにと、2試合とも勝ってもおかしくない接戦を演じながらスターパワーで押し切られている。ケビン・デュラントとカイリー・アービングを擁した時代が終わった今、スターパワーの問題とは今後も向き合っていかなければならないようだ。