「チームの勝利に貢献するには、何らかのアジャストが必要になる」
昨年夏にコアメンバーのルディ・ゴベアとドノバン・ミッチェルを放出したジャズは、37勝45敗の西カンファレンス12位でプレーオフ進出は逃したものの、ラウリ・マルカネンがエースの地位を確立し、若手のステップアップも順調に進み、再建1年目としては誰の予想をも上回るシーズンを送った。
今オフには昨シーズンからの継続路線を選択し、ジョーダン・クラークソンとテイレン・ホートン・タッカーを残留させ、ホークスからジョン・コリンズを獲得。1巡目指名権3つを使って獲得した9位指名のテイラー・ヘンドリックス、16位指名のキヤンテ・ジョージ、28位指名のブライス・センサボーはいずれも即戦力の能力を持ち、過度なプレッシャーを与えることなく成長を待つことができる。
2023-24シーズンの始動に先駆けて、ヘッドコーチのウィル・ハーディが会見を行った。1974年にニューオリンズで生まれたジャズは、今年でクラブ創設50周年を迎え、様々な記念イベントが予定されている。それでも指揮官ハーディは「昨シーズンを土台にするとか、将来を見据えるとかの話もあるだろうが、私は今のチームに集中したい」と語る。
「新しい選手もいるし、昨シーズンにいた選手が新たな役割を担うこともある。チームを歴史に縛られないものとして見て、昨シーズンと同じくすべての試合で全力で勝ちに行くことを約束する」
35歳のハーディは、昨シーズンにジャズに招聘されて初めてヘッドコーチを務めた。2年目のスタートに際し「去年の今ごろはまだ一緒に働く人たちの名前を憶え、人間関係を作り始めたところだった。1年かけて信頼を築いた今、すごく良いスタートを切れると思う。選手たちはみんな準備万端で、実際に仕事に取り掛かるのを喜んでいる」と語る。
昨シーズンの急成長を継続させられれば、ジャズは再建を1年で終わらせてプレーオフに進むことができるだろう。ただ、新シーズンの目標をどこに設定するかと問われると、ハーディは「ここまで行けば成功で、それ以下は失敗というラインは決めていない。優勝という最終目標に向けて、勝てる習慣を確立していきたい」と言う。
ただ、それは成長を優先させて勝てないチームに甘んじるようなものではない。むしろハーディはトレーニングキャンプの初日から選手たちを厳しい競争に放り込むつもりだ。「プレータイムを得るために必死で戦わなければいけない状況が私は好きだ。10日に一度、先発メンバーを代えるようなチームでありたいし、それを選手が受け入れてくれれば素晴らしいね」
「選手には食物繊維のどの位置に自分がいるかを理解してもらいたい。NBAプレーヤーの95%は、それまでのキャリアでずっとチームのベストプレーヤーだった。でもNBAではそうじゃない。チームの勝利に貢献するには、何らかのアジャストが必要になる。シュートを打つな、リングを見るなと言いたいわけじゃない。ただ、自分を中心に試合が組み立てられるわけじゃないことを理解すべきだ、と言いたいんだ」
「バスケはまず第一にチームスポーツで、全員が試合に参加している状態は維持したい。とはいえ、ベストプレーヤーで勝負すべき時にそうしないわけじゃない。ラウリ(マルカネン)が他の選手に埋もれることはない。でも、私は一人の選手を中心に試合を組み立てようとは思わない」
ジャズはコアメンバーの補強はなかったが、選手層は厚くなった。これを生かすも殺すもハーディ次第。35歳の若きヘッドコーチは確かな自信を持って2年目の開幕を迎える。