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自らを「フットボールの選手」と言い、グリーンを挑発?

1月16日にオラクル・アリーナで行なわれたキャバリアーズvsウォリアーズは、前半からウォリアーズが圧倒する展開の末に126-91で完勝。昨年12月25日にクイックン・ローンズ・アリーナで行なわれたクリスマスゲームでの借りを、ウォリアーズが見事に返した。

両チームの対戦は、レギュラーシーズンではもう見られない。再戦があるとすればNBAファイナルということになる。試合前日、激突を前に高まる周囲のテンションをよそに、レブロン・ジェームズは「ウォリアーズとの間にライバル関係はない」とコメントしていた。

これに発奮したと思われるドレイモンド・グリーンは、大勝の試合を終えて「レブロンがどう考えようと、彼は俺たちを負かしたいと思っているし、俺たちは彼らを倒したい」と語っている。

昨年のファイナルでも物議を醸した両選手のマッチアップは、今回の対戦でも白熱。第2クォーター残り6分55秒、速攻からゴールに向かおうとしたジェームズの進路を遮るようにして、グリーンが右肩からジェームズにぶつかりプレーを阻止した。この時グリーンの肩がジェームズの顎にヒットしたように見え、ジェームズは吹き飛ばされるようにコートに転倒。審判はグリーンのプレーを危険なファウルと判断し、フレイグラントファウル1(警告)を科した。

このラフプレーに激昂したキャブズのリチャード・ジェファーソンがグリーンに詰めより、両選手にテクニカルファウルも追加でコールされたが、試合後ウォリアーズ指揮官のスティーブ・カーは、グリーンのファウルについて、「ファストブレイクを止める上では普通のファウル」という見解を示した。

問題となったシーンを見ると、確かにジェームズが過剰なリアクション、つまり数年前からNBAが厳しく罰則化しているフロッピング(審判を欺きファウルを得ようとする行為)と判定されていても不思議ではなかったようにも見える。

試合後ジェームズは、「多分、彼の肩が顔面に当たったんだと思う」と振り返り、「あまりにも速い展開で、誰とぶつかったか分からなかった。自分はフットボールの選手だからね」と続け、アメフトの選手並みにタフな自分にはグリーンのタックルも大したことがない、という旨の発言を残している。

先走った見方をすれば、これはジェームズがファイナルでの再戦を見据え、審判がグリーンのプレーを厳しく見るように仕掛けた『罠』かもしれない。事実、ジェームズは今シーズン開幕から相手選手の自分に対するディフェンスに笛が吹かれないことに苛立ち、暗に審判のジャッジを批判する発言をしている。

もしグリーンが3勝1敗と王手をかけて迎えた昨年のファイナル第5戦に出場していたら(グリーンはプレーオフでの累積フレイグラウントファウルにより出場停止)、キャブズの大逆転優勝はなかった、という議論は根強く残っている。それだけに、今回の接触に対するリアクションがNBAファイナルに向けた布石だとすれば、レブロンは相当な策士だ。

簡単に実現するとは言えないまでも、やはり両チームの対戦は、NBAのトップを決めるファイナルが相応しい。そう思えるレギュラーシーズンの対戦だった。

接触があった直後の様子。ジェファーソンが詰め寄るがグリーンは平常心を保っている。