カイリー・アービング

ドンチッチとのコンビは2年目へ「彼が上手くやれればチームも成功する

カイリー・アービングは意欲十分でマーベリックスに戻って来た。昨シーズン途中にネッツからトレードで加入したが、チームの調子は上がらず、プレーオフ進出を逃したことは『大失敗』だったが、彼は今オフにマブスと新たな3年契約を結んで、再びルカ・ドンチッチとコンビを組む。

「会えてうれしいよ。いや、ジョークじゃなくてね」と上機嫌に笑うカイリーは、これから迎えるシーズンを心から楽しみにしている。

「騒がしい日々の中で我慢強さを学べたと思う。新しい街に移り、新しいチームに慣れて、人として成熟できた。新しい経験を前にしても、少しは自分に余裕を持っていられるようになった。NBAで一人で生きていくのは大変だけど、僕は助けてくれる人たちに恵まれた。今ここにいることに感謝しているんだ」

マブス残留は既定路線ではあったが、彼自身が何の問題もなかったと明言している。「マブスは常にリストの一番手だった。僕も31歳になって、今までとは違う視点を持つようになった。僕はここでハッピーでいられるし、温かい抱擁で迎えてもらえると感じた。そして家族にダラスでの暮らしを楽しめているか確かめた。ここ2年は十分悩んだから、そういう気持ちから解放されたかった」

「僕はただ自分らしくありたかった。ここ数年、それはどういうことかと自分を見つめてきた。人として成熟し、成長し続けるにはここが最高の場所だと思ったんだ」

ドンチッチとのコンビは2年目になるが、昨シーズン後半よりもずっと良いパフォーマンスができるとカイリーは確信している。「良いチームを作るにも、ケミストリーを構築するにも時間がかかる」と彼は言う。

「昨シーズンは彼に守備の意識が集中したおかげでオープンショットをたくさん作ることができた。僕はルカのプレッシャーを軽減するためにプレーしていたんだけど、お互いに受け身になりすぎたと思う。僕らはコート上ではどちらも決定的な存在じゃないといけない。昨シーズンはあっという間に終わってしまったし、すぐに結果を出さなきゃいけないプレッシャーもあった。正直なところ、まだ準備ができていなかったと思う。このリーグでは健康がすべてという部分もあるしね。だからこそ、今回みたいにシーズンの初日からスタートできるのは楽しみなんだ。駒は揃っているしね」

実際、駒は揃っている。マブスはカイリーを残留させたことに加え、フリーエージェントもドラフトも成功させた。それでもドンチッチとカイリーのコンビがチームの命運を握るのは間違いない。カイリーもそれを自覚して、ワールドカップでのドンチッチの活躍を見守っていたと言う。

「スロベニア代表のグループとしての親密さ、ルカがありのままの姿でいるのを見て、僕たちはここでも同じ環境を作るべきだと感じた。彼にハッピーだと感じさせたい。彼には信じられないほどの才能がある。彼が成功するのを見たいし、彼が上手くやれればチームも成功する。だから僕はベテランとしてプレーし続け、彼と本音で向き合いたい」

会見はすべて穏やかな雰囲気で進んだ。カイリーはメディアと対立することが多く、ネッツ時代には彼一人がメディアデーに姿を現さず、オンラインで一方的に自分の考えだけをしゃべったこともあるが、その時とは精神的なコンディションが格段に良いのは間違いない。身体的なコンディションも良いようだ。今回の契約には、65試合以上に出場すれば100万ドル、チームが50勝を上げて彼が58試合以上に出場していれば100万ドル、というボーナスが付いている。

「できるだけ多くの試合に出場するという現実的な挑戦を自分に課したのさ」とカイリーは説明する。シーズン65試合出場をクリアしたのはセルティックス時代の4年前、昨シーズンのマブスは38勝しかしていない。それでもカイリーは自信満々、自分たちの未来は明るいと信じて、2023-24シーズンをスタートさせた。