大会ベスト5は町田、馬瓜、長岡、宮澤、渡嘉敷に
皇后杯はJX-ENEOSサンフラワーズの6連覇に終わった。結局は『女王』が圧倒的な力を示した大会となったが、世代交代が進むJX-ENEOSの足元をすくおうと奮闘した富士通レッドウェーブから町田瑠唯が、トヨタ自動車アンテロープスから長岡萌映子と馬瓜エブリンが大会ベスト5に選ばれている。残る2人はJX-ENEOSの2人のエース、渡嘉敷来夢と宮澤夕貴。宮澤は昨年に引き続いて大会MVPを受賞した。
宮澤夕貴(JX-ENEOSサンフラワーズ)
3ポイントシュートを新しい武器として会得した宮澤は、ワールドカップではエースとしてチームを引っ張る自覚を見せたが、吉田亜沙美や渡嘉敷がいるJX-ENEOSだと先輩の後を追う印象もまだ残る。それでも宮澤が調子を上げればJX-ENEOSは手の付けられないチームとなり、その好不調がリンクしていることで、『宮澤のチーム』という感も出始めている。滅法勝負強いため得点ばかりが注目されるが、スイッチしてもミスマッチを作らせないサイズとフットワーク、相手のシュート意欲を削ぐヘルプと、ディフェンスも一級品。女子では最高の2ウェイプレーヤーだ。
町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)
長岡が退団した後の富士通ではゲームを決める選手が不在となっていたが、ポイントガードの町田が得点面で進化。JX-ENEOSが相手の準決勝で33得点8アシストを記録し、『女王』を苦しめた。ビッグマンも3ポイントシュートを打つチーム戦術において、ゴール下に生まれたスペースを思い切り良く突くアタックが得点アップの秘訣。吉田も藤岡麻菜美もコントロール型の司令塔であり、スコアリングガードとしての町田の覚醒は日本代表にも大きなプラスとなりそうだ。
馬瓜エブリン(トヨタ自動車アンテロープス)
ヘッドコーチ交代でより自由にプレーできるようになり、卓越した個人技がチームによりフィットしている。決勝では宮澤とのマッチアップで3ファウルをもぎ取るなど、1対1の強さが目立った。広いシュートレンジで得点を重ねただけでなく、渡嘉敷へのダブルチームなどインサイドのディフェンスでも効いていた。
長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)
タレント集団のトヨタ自動車においても、最もミスマッチを作り出せる攻撃の起点にして切り札なのが長岡だ。3番とのマッチアップでは力強さで、4番とのマッチアップでは外角シュートにスピードでと、異なる武器で勝負できるのが強みとなっている。準決勝での髙田真希を封じたパフォーマンスは見事だった。あとはJX-ENEOSをどう超えるか。アグレッシブで力強いスタイルをさらに磨いてほしい。
渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)
インサイドでの高さ、強さは圧倒的で、さらにアウトサイドのシュートも高確率で決める。加えて豊富な経験から来るバスケIQの高さもあり、ダブルチームを仕掛けても冷静に対処できる。相手からすれば、何かを仕掛けても逆手に取られて対応される怖さがあるし、さらには勝負どころになると吉田との阿吽の呼吸、最強のホットラインが飛び出す。まさに国内では敵なし、というパフォーマンスだ。
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