オースティン・リーブス

ニュージーランド代表に序盤は苦戦するも逆転勝利

バスケットボールでは数字で説明のつかないことが多々ある。アメリカ代表はワールドカップ初戦でニュージーランド代表と対戦し、99-72で勝利した。世界最高のタレント集団がニュージーランドを一蹴した試合に見えるだろうが、試合開始から数分で10点のビハインドを背負い、ピリリとした空気が流れた。逆転勝ちを収めたとはいえ、アメリカにとっては課題が見えた試合だ。

国際大会での初戦で、アメリカはティップオフ前に少々リズムを狂わされた。ウォーミングアップのためにコートに出て来るも、ニュージーランド伝統の戦いの舞い『ハカ』を見守り、その後はコートへの闖入者を警備員が捕まえるまで待たなければならず、ルーティーンを乱された。

アメリカ代表の指揮官、スティーブ・カーは言う。「どんな試合であれ、初戦の入りは難しい。選手たちにも伝えたが、どの対戦相手も我々と対戦する時にはモチベーションを最大限に高めてくる。ニュージーランドがそれを示したことは、我々にとって良い教訓となる」

立ち上がりで思わぬ劣勢に陥ったアメリカはセカンドユニットをコートに送り出す。開始5分でパオロ・バンケロとジョシュ・ハート、その後すぐにタイリース・ハリバートン、オースティン・リーブス、さらにキャメロン・ジョンソン。序盤の相手の勢いをベンチで見ていた彼らは、それに負けないインテンシティを出し、相手の勢いを逆手に取ってファウルを取る冷静さも発揮して、前半のうちに逆転に成功した。

ニュージーランドはその後も奮闘を続けたが、ファウルがかさむと勢いを持続できなくなり、第2クォーター途中からズルズルと後退し始めた。23のファウルをして、与えたフリースローが27本。この数字が最終的なスコアの差になったのは偶然ではない。

試合後の会見にはオースティン・リーブスが登場した。22分のプレーで12得点2リバウンド6アシスト。突出したスタッツを残したわけではないが、試合の局面局面においてチームが必要とする役割を遂行し、勝利への流れを作った。「想定していた序盤とはかなり違ったけど、最初の5分間の後はインテンシティとフィジカルがかなり良くなった」とリーブスは語る。

「ウチのセカンドユニットはコートに出たらとにかく勢いを出していく。それはディフェンスから始まるから、インテンシティはすごく上げていかなきゃいけない。そうなればトランジションに持ち込むことができて、何もかも簡単になる。このメンバーでプレーするのは簡単だよ。正しいやり方でプレーすれば上手くいくと分かっているからね」

ドラフト外、2ウェイ契約からキャリアをスタートさせて、レイカーズの主力となり、アメリカ代表としてこの舞台に立つまでに成長した。スター選手揃いのアメリカ代表においても、一際大きな歓声を受けたリーブスは「僕が国を代表してプレーするなんて予想できなかっただろうね。だからこそ、ファンの歓待は僕にとってとても大きな意味がある」と言う。

キャリアと人気の高まりとともに、責任やプレッシャーも大きくなるが、「僕はそのためにプレーしているんだから、大歓迎だよ」と気にしていない。

リーブスはこう続ける。「子供の頃からワールドカップやオリンピックを見ていた。だから今は、毎朝目覚めるたびにこの瞬間を大事にしようと思うし、今が当たり前だとは思わない。これだけ素晴らしいタレントと一緒にプレーできる。しかもみんな無欲でエゴがない。僕にとっては最高に楽しいんだ」