バハマ代表

パリオリンピックに向けた予備予選で驚きのパフォーマンスを見せる

ワールドカップ開幕に向けて出場チームが強化試合を繰り返す中、世界の5カ所で来年のパリオリンピックに向けたプレ予選が行われている。その一つ、アルゼンチンで波乱が起きている。FIBAランキング56位のバハマが、4位のアルゼンチンを敵地で撃破したのだ。

バハマに驚異的な力を与えたのは、NBAで実績十分のディアンドレ・エイトン、エリック・ゴードン、バディ・ヒールドだ。これまでバハマ代表に長らく参加していなかった彼らのモチベーションを刺激したのは、ヘッドコーチのクリス・デマルコだ。ウォリアーズのビデオコーディネーターからアシスタントコーチに昇格した彼は、2019年の夏にバハマ代表ヘッドコーチとなっている。新型コロナウイルスの影響でNBA選手を招集するプロジェクトは一時中断となったが、今回すべてが動き出した。

試合序盤に低調だったバハマは最初の5分で9-25と大量ビハインドを背負うも、エイトンがディフェンスとリバウンドで相手の勢いを削ぎ、第2クォーターだけで13得点を挙げたヒールドが試合の流れを引き寄せた。第2クォーターを30-16と圧倒して前半終了間際に逆転すると、第3クォーターも27-14とリードを広げる。アルゼンチンはラスト3分で4点差まで迫ったものの、最後は突き放された。

最終スコア101-89でバハマが快勝。ゴードンは24得点、ヒールドは23得点、エイトンが22得点15リバウンドと活躍している。点の取り合いとなった展開で、リバウンドで40-28と大差を付け、ポゼッションを増やしたことが勝因となった。

エイトンは代表チームに合流した時点で「バハマ代表のためにプレーし、チームの成長を間近で見られるのが楽しみだ。バハマを胸にプレーできるのは特別な経験になる」と語っている。

ワールドカップに出場しないチームにとってオリンピック出場への道は非常に険しい。キューバ、アルゼンチンを相手に連勝してグループ1位通過を決めたバハマだが、ここから4チームによる決勝トーナメントを勝ち抜いて、ようやく予選への出場権を得る。

それでもNBA組の3人が代表でプレーすることに大きなモチベーションを感じ、素晴らしいプレーを見せているのは心強い。思えばエイトンもゴードンもヒールドも、それぞれ形は異なるが所属チームで正しい評価を受けられずに苦戦している。『無償の愛』を送られて応援される代表でのプレーは、心躍るものがあるのだろう。