田臥勇太

文・写真=鈴木栄一

腰の痛みで復帰時期は未定も、アウェーゲームに帯同

栃木ブレックスは2019年の初戦、アルバルク東京との東地区上位対決に62-79と黒星スタートとなってしまった。第1クォーターに9-29と出だしで大きくつまずき、前半で27点の大量リードを許しての敗戦。安齋竜三ヘッドコーチが「圧倒された。後半、なんとか色々やりながら少しは試合に持っていけたと思いますが、基本的には完敗でした」と総括する反省の多い試合だった。

とはいえ、最大で31点の大量リードを許したのを、第4クォーター序盤には一時的とはいえ6点差にまで縮めたのは栃木の地力の証であり、明るい材料とも言える。また、この試合では故障で長らく戦列を離れている田臥勇太がチームに帯同し、ベンチから味方を鼓舞しているのもポジティブな要素。腰痛を理由に10月21日の試合から欠場を続けている田臥は当初、アウェーゲームの試合には帯同せずホームでのみベンチに入っている状況だった。

だが、12月15日と16日の新潟アルビレックス戦、29日と30日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦に続いて今回もアウェーゲームでベンチ入り。まだ復帰時期は未定だが、明るい兆しが少しずつではあるが出てきているのではないだろうか。

そんな田臥に新年の抱負を聞くと、「今まで以上にバスケットを楽しめるようにやっていきたいです」と語る。コートに立てない日々が続いている現状についても「焦りはないです。チームメイトはみんな頑張っていますし、僕も一緒に頑張っています。やるべきことをしっかりやるだけですし、一日でも早い復帰をしたいです。それも含めて全部が経験だと思っています」と、力強い言葉が返ってくる。

苦しい状況に陥ってもポシティブな姿勢で、今できることを精一杯こなしていくのは田臥が長いキャリアで継続してきたこと。それゆえに彼は、今もトッププレーヤーとしてBリーグに君臨できている。そして、日本人初のNBA選手として、そして同じ海外挑戦をした選手として、ブリスベン・ブレッツを消化不良な形で退団することになった比江島慎に次のようなエールを送る。

「日本のトップ選手ですので、とにかく一緒に今までやってきた仲間として今回の経験を経ての彼の成長は楽しみです。どういう状況になろうと、彼のプレーをすごく楽しみにしています。僕がアメリカでずっとやっていて一番大切と感じたのはバスケットに対する情熱、真摯に向き合う姿勢。それに自分を表現する姿勢と、メンタル的なところがすごい勉強になりました。そういうのは長いキャリアで生きてくると思いますし、彼にも発揮してもらいたいと先輩として思います」

そして、田臥は「2019年もいろいろな勉強、経験ができるように、日々ポジティブに楽しくバスケットに向き合っていきたいと思います」と締めくくってくれた。いずれ訪れるであろう復帰の時、果たしてどんなプレーを見せてくれるのか。より楽しみが増す新年の言葉であった。