ボル・ボル

219cmの長身と234cmのウイングスパンが武器、マジック移籍を機にブレイク

サンズはフリーエージェントのボル・ボルを1年契約で獲得した。同時に、ロスターの枠を空けるためにキャメロン・ペインを放出している。

ボル・ボルはキャリア4年目を終えた23歳。南スーダン出身で1980年代のNBAで一世を風靡したマヌート・ボルの息子で、219cmの長身と234cmのウイングスパンを生かした強烈なショットブロックは父親譲り。それでも、2019年のNBAドラフトでは注目されていたにもかかわらずケガの影響で44位まで指名されず、最初に所属したナゲッツでの3シーズンは苦戦続きだった。

転機となったのは昨シーズンのマジック移籍。強豪のナゲッツから再建チームに移ったことでプレータイムが21.5分と伸びたのに伴い、9.1得点、5.8リバウンド、1.0アシスト、1.2ブロックのすべてでキャリアハイを記録した。組織プレーの遂行を考えるばかりで縮こまってプレーしていたナゲッツ時代から一転、線の細さから来るパワー不足を他の選手にカバーしてもらい、自分の長所を発揮することを優先して素晴らしいパフォーマンスを見せた。

それでも彼はいまだ『未完の大器』だ。ナゲッツ時代、ニコラ・ヨキッチと比較されることで彼の評価を落としたバスケIQは低いままで、試合の状況によって自分の武器を使い分ける判断が弱い。NBAで最もバスケIQの高いヨキッチとは勝負にならないにせよ、周囲のサポートがある状況で役割を整理される中で、判断の質をもっと向上させる必要がある。それができれば、昨シーズン以上のパフォーマンスを出せる可能性は高い。

サンズはこれらすべてを承知の上でボル・ボルを獲得したはず。チームディフェンスを重視するフランク・ボーゲルのバスケへのフィットに苦しむだろうが、ただのビッグマンの控えではないタレントへと『化ける』可能性を秘めている。

ペインを放出したサンズは、デビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトン、ケビン・デュラント、ブラッドリー・ビールのスター選手4人以外はすべてミニマム契約となった。年俸650万ドル(約8億8000万円)のペインが抜けたことで、3000万ドル(40億円)近い贅沢税の削減となる見込み。クリス・ポールに続いてペインも放出したことで、本職のポイントガードはウィザーズから獲得した若いジョーダン・グッドウィンだけとなるが、ビールを先発ポイントガードに据えてシーズンに臨むことになりそうだ。