オコエ桃仁花

「自分は日本のシューターなので、外しても打ち続けることをテーマにしています」

『FIBA女子アジアカップ2023』に出場中の女子日本代表は、グループリーグ最終戦で地元のオーストラリアと対戦し、91-66と圧勝した。グループリーグを首位で通過した日本は、ベスト4入りを確定させて五輪最終予選(OQT)への切符を獲得。今日、明日と中2日の休息を取って土曜日の準決勝に臨む。

もし、日本がここでオーストラリアに敗れた場合、明日には韓国と負けたらパリ五輪への道が途絶えるという準決勝決定戦を戦うプレッシャーのかかった状況になるところだった。様々な面で大きな意味を持ったこの試合で、オコエ桃仁花は抜群の存在感を示した。

日本は試合序盤、単発なオフェンスでリズムに乗れず、逆にオーストラリアにオープンシュートを決められ0-8のランを許してしまう。しかし、第1クォーター終盤から攻守にわたってプレーの強度を高めたことで流れを変え、第2クォーターに29-11と爆発。その中でオコエはサイズの不利を感じさせな力強いドライブからレイアップを決めきることでオフェンスに幅を生み出し、チームにいい流れをもたらした。さらにオコエはチャイニーズ・タイペイ戦、フィリピン戦と絶不調だった3ポイントシュートをこの重要な試合で7本中4本と高確率で沈め、20得点5リバウンドと大きなインパクトを与えた。

過去2試合で溜まったうっぷんを晴らす活躍を見せたオコエは、試合をこう振り返る。「2試合で3ポイントシュートが13本中1本しか決まらず、しょげていました。ただ、今までもこういう経験をしてきましたし、自分は日本のシューターなので、外しても打ち続けることをテーマにしています。今回、大事なところで入れられたことはすごくうれしいです」

そして「いつか私の時間が来ると信じていました」と、シューターに不可欠な強靭なメンタルで試合に臨んでいたことを明かし、「1試合目、2試合目と私が機能しなくてみんなに助けられていました。この試合では自分が流れを作らなければと思っていました」と、強い責任感が大一番での爆発をもたらしたと話した。

オコエ桃仁花

「ワールドカップで悔しい思いをしていたので、負けられない思いで戦いました」

この試合のオコエは、持ち前のパワーを活かしたドライブでも大きな働きを見せた。これにはオーストラリアで2部にあたるNBL1のジーロング・スーパキャッツでの経験が役に立っている。「NBL1でプレーしているおかげで、オーストラリアの選手の特徴も分かります。チャイニーズ・タイペイとフィリピンは、日本とスタイルが似ているところもあり、逆にやりづらかったですが、海外の経験を日本に還元したいという思いでもやっています」。そして、シーズンまっただ中のWNBAに主力が多く参加している影響で戦力が落ちているものの、「ワールドカップで悔しい思いをしていたので、負けられない思いで戦いました」と、昨年9月のワールドカップで54-71と大敗した相手への雪辱に強い思いを持って試合に臨んでいたと振り返った。

また、OQTへの出場を決めたことには「日本のためにOQT出場も目指してやっていたのでホッとしています」と笑みを見せるが、すぐに6連覇に向けて気持ちを切り替えている。「相手は日本に6連覇をさせたくないと必死だと思います。その気持ちに負けないためにもプライドと覚悟を持って戦っていきます」

そして「今後への弾みはすごくつくと思います。みんないい笑顔でプレーしていて楽しかったです」とオコエだけでなく、チーム全体にとっても大きな勢いをもたらす試合になると締めくくった。これからの準決勝、決勝は、グループリーグ以上と違ってタフな展開になることが予想される。その中でオコエの爆発力は、日本に試合の流れをもたらす起爆剤としてより重要になってくる。