『守って走り切るバスケット』を展開した福岡第一、互いの持ち味を出し合う激闘の末に東山を破り、ウインターカップを制す

2016/12/29
プレーヤー
361

文=鈴木健一郎 写真=小永吉陽子

探り合いの前半、重苦しい均衡を重冨ツインズが『ブレイク』

『JX-ENEOSウインターカップ2016』大会最終日。インターハイと同じ顔合わせとなった福岡第一(福岡県)と東山(京都府)の対戦は、試合中盤までの混戦から抜け出した福岡第一が勝利し、インターハイとウインターカップの『2冠』を成し遂げた。

試合は思いがけず静かな立ち上がり。福岡第一は得意の速攻があまり出ず、東山もエースの岡田侑大にボールを集めることのない、互いの様子を探りながらの序盤戦となった。

この立ち上がりについて東山の大澤徹也コーチは「岡田には前半は休憩しなさいと伝えていました」と後半勝負であったことを試合後に明かしている。攻めに行かない代わりに、福岡第一のブレイクを封じる作戦だ。福岡第一のガード、重冨友希は「最初は相手にうまく抑えられて、速攻を出させてもらえませんでした」と振り返る。

第1クォーターに14-20とビハインドを背負った福岡第一。それでもスコアはさして問題ではなかった。前日の準決勝で蔡錦鈺がファウルアウトして苦しんだ反省から、留学生センターのカロンジ・カボンゴ・パトリックの攻めを無理に止めに行かず、蔡とバム・アンゲイ・ジョナサンのローテーション起用によりファウル数をコントロールして試合を進める。

福岡第一が動いたのは第2クォーター半ばから。200cm103kgの巨体ながら軽やかなフットワークを持つ蔡が、ゴール下での力勝負にこだわらずミドルシュートを美しいフォームで決めてオフェンスにリズムをもたらす。すると得意の速攻が『復活』。重冨友希が「抑えられていてもずっと続けたのが良かったと思います」と言うブレイクからの攻めが飛び出し、周希と友希の重冨ツインズが交互にリングにアタック。重冨友希の連続3ポイントシュートもあり、第2クォーターを39-32とリードして締めた。

後半に入ると、様子見だった前半とは打って変わって両チームが持ち味を発揮して打ち合いを展開する。福岡第一は重冨ツインズを軸にした素早いトランジションで、そして東山はエースの岡田にボールを集めて1on1でガンガン勝負させた。

福岡第一は岡田に高確率でシュートを沈められ、取られたくないファウルもかさむ。パトリックのゴール下もファウルを恐れて腰が引けたディフェンスでは止められず、第3クォーターは岡田に11点、パトリックに14点と大暴れを許した。

しかし福岡第一は、パトリックに強く当たれない分、1年生の松崎裕樹で抑え切れないと見れば土居光がヘルプに走り、ダブルチームで抑え込む。重冨周希のドライブ、蔡のミドルシュート、そして土居光も3本のシュートをすべて沈めて、追い上げられながらもリードを守る。そして第3クォーターの最後は重冨周希が、目の前までチェックが迫っていたにもかかわらず、ブザービーターとなる3ポイントシュートを沈め、67-57とこの試合初めてリードを2桁に乗せた。

大会を通じて苦しんだ技巧派ビッグマン、蔡のガッツポーズ

第4クォーターも蔡が価値ある得点を連発する。残り7分半、インサイドでクリスティンと押し合いになったかと思った次の瞬間に沈めたのは、スピンムーブからのフェイダウェイシュート。大柄な見かけからは想像もできない技巧に東京体育館が沸く。続くポゼッションでもジャンプショットを落ち着いて沈めると、福岡第一応援団の目の前で右腕を振り上げる派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。

蔡は思わず飛び出したガッツポーズをこう振り返る。「この大会に入ってから調子が上がらなくて、初戦からずっとシュートが入りませんでした。苦しかったし、悔しかったです。最後の試合で絶対に決めたいと思って、そして強い気持ちで打ちました。それが決まって、最高の気分でした」

東山もあきらめない。残り6分を切ったところで岡田が強引なドライブインからバスケット・カウントを奪う。得点以上に蔡から4つ目の個人ファウルをもぎ取り、コートから追いやったという点で価値あるプレーだった。岡田はその後も連続ダブルクラッチで得点を重ね、最大14点あった差を7点にまで詰めている。

だが残り3分になって、福岡第一はタイムアウトで一息入れるとともにファウルトラブルに陥っている蔡と土居をコートに戻して勝負に出る。井手口孝コーチが「ファウルアウトになっても逃げ切れると計算しました」とこの判断を説明する。スターターの5人がコートに立った福岡第一は、その後もクラッチプレーを連発する岡田に得点を許しながらも、リードをしっかり守って時計を進めていく。

残り1分11秒、ボールホルダーを素早く囲むチームディフェンスから重冨周希が独走のレイアップを決めて81-74。東山は岡田から松本峻典への合わせの得点で食い下がるが及ばず、最終スコア81-78で試合終了のブザーが鳴った。

スコアがあまり動かなかった前半は、ハーフコートバスケットを得意とする東山のペース。そして打ち合いに応じた後半、『走り勝つバスケット』を武器とする福岡第一がペースを握るという展開だった。東山はパトリックが32得点、岡田が26得点と得点源が期待に応えたが、スターターの5人が攻守にバランス良く活躍する福岡第一が上回った。

東山の大澤コーチは「重富兄弟にやられる部分、土井と松崎をどう抑えるかを考えていた。ある程度はプランどおり。しかし、蔡くんのところで点数を決められたのは誤算だった。我慢はしたが、ひっくり返せなかった」と試合を振り返る。

11年ぶり2回目のウインターカップ制覇を決めた井手口コーチは、大会をこう総括した。「この1年間、とにかく手を抜かない、質の良い練習を、どこのチームよりもやろうとしてきました。その成果が最後までしっかり出せた。ここにいる生徒だけじゃなく、全員を褒めてあげたい」

こうして7日間の熱戦は終わりを告げた。2017年大会も手に汗握る熱戦と新たなスター選手の登場に期待したい。

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