今野紀花

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「どんなシチュエーションでもディフェンスから」

ウインターカップが今日開幕。女子の1回戦では聖和学園が登場し、鳥取城北を93-59で破り、順当に初戦突破を果たした。

大会ベストプレーヤーとしての活躍が期待される今野紀花は27分の出場で22得点11リバウンドを記録。プレータイムを制限しながらも得点、リバウンド、さらにはアシスト(5)でゲームハイの数字を残した。危なげない試合運びでの勝利ではあったが、途中で気が緩んだ時間帯があったことで今野は反省を口にする。

「ディフェンスからリズムを作るのが理想なんですけど、オフェンスに集中してしまったのかディフェンスがちょっと良くなくて。明日からは足を動かしてディフェンスで圧倒できるようにしたいです。点差が離れていって心に余裕ができてしまって。ディフェンスで頑張ろうという意識が薄れてしまった。どんなシチュエーションでもディフェンスから頑張りたい」

この試合に勝つだけであれば、ここまでの気持ちは不要だろう。ただ、今大会で聖和学園が目指す高みへと行き着くためには、気の緩みは許されない。個人のパフォーマンスについても、「決めきらなきゃいけないところを外したので、まだまだできました。自分の中では良くなかった」と、目標を高いところに置いている。

今野紀花

「一戦一戦、全員で勝ち進んで優勝を目指します」

この夏はU18アジア選手権で準優勝、また3人制バスケの3×3の日本代表として臨んだアジア競技大会では銀メダル獲得と、アンダーカテゴリーの代表でも貴重な経験を積んだ今野は、アメリカの名門であるルイビル大への進学が決まっている。大きな注目を集めて高校最後の大会に臨むことになるが、「1週間ぐらい前は周りからの言葉とかでプレッシャーがありましたが、今は大会に集中しているので大丈夫です」と平常心で自分のバスケットをすることに集中している。

「大きな会場なので雰囲気に飲み込まれないように、みんなで声を出していつも通りに」と大会に臨む意気込みを語ったが、国際大会での経験はこういうところでも生きるはずだ。

鳥取城北を破った試合後、今野だけは別室で取材対応を受ける『特別待遇』を受けた。それだけ注目されているわけだが、「少し驚いたんですけど、アメリカに行くってことはそういうこと。そういう中でも自分のプレーをしっかりしたい」と覚悟を決めている。

「アメリカに進学するってことは、日本では誰にも負けたくない。そうじゃないとアメリカに行けないので、まずはウインターカップでチームとしても上を目指して勝ちたいし、個人としても他の選手に負けないようプレーしたい」と今野は言う。

チームとしての目標は、「ひとまず3回戦突破」。明日の2回戦で山形市立商業に勝てば岐阜女子と当たることが濃厚で、ここが一つのヤマとなる。「一戦一戦全員で勝ち進んで優勝を目指します。その一戦一戦で自分の3年間やってきたこと、会場を沸かせるようなプレーをできるように、他のプレーヤーに負けないように」

今野にとって2018年は飛躍の年となった。その2018年を、聖和学園での高校バスケを最高の形で締めくくることができるか。アメリカに行く前に日本一の高校生になる──今野の高校バスケ最後の挑戦が始まった。