三田七南

オリンピックの3人制バスケは出場わずか8チームの狭き門

3人制バスケットボール『3×3』のワールドカップが、5月30日から6月4日の日程でウィーン(オーストリア)で開催される。日本からは男女の日本代表が参加し、上位進出を目指す。

2021年に行われた東京オリンピックで正式種目となった3×3は、来年のパリオリンピックでも実際される。日本代表にとっては、この出場権を得ることが当面の大きな目標だ。しかし、男女それぞれ12チームが参加する5人制以上に、男女それぞれ8チームしか出場できない3人制は非常に狭き門となっている。

出場権獲得の道は大きく2つ。まずは各選手がポイントを獲得し、国別ランキングを上げること。2023年11月1日時点での国別ランキングの上位3チームには、その時点でパリオリンピックの出場権が与えられる。選手個々が出場した大会のレベルと成績に応じたポイントを獲得し、各国上位25選手のポイントの合計で国別ランキングが決まる。現在は男子が14位、女子が6位。特に女子はここから3位まで順位を上げてのストレートインを目指す。

もう一つは予選を勝ち抜く道だ。2024年にはUOQT(ユニバーサリティー方式選考会)が行われ、8チームが参加するこの大会の優勝チームがパリオリンピック出場権を獲得する。そして16チームが参加するOQT(世界最終予選)があり、上位3チームが出場権を得る。国別ランキングでアジア2位までに入ればOQTに参加できるため、その意味でもポイントを獲得することが重要となる。

ワールドカップ以外にもワールドツアーやウィメンズシリーズなどイベントレベルの高い大会はあり、アンダーカテゴリーも含め多くの大会に参加してポイントを狙っていくが、ワールドカップは上位に入ればUOQTの出場権を得られる大事な大会となる。

落合知也

男子日本代表メンバー

 佐土原遼 F/192cm/広島ドラゴンフライズ
 トーマス・ケネディ F/201cm/茨城ロボッツ
 保岡龍斗 G/188cm/秋田ノーザンハピネッツ/ALPHAS.EXE
 落合知也 F/195cm/ALPHAS.EXE
(予備登録選手)
 小澤崚 G/176cm/ALPHAS.EXE
 星川堅信 F/190cm/早稲田大学/UTSUNOMIYA BREX.EXE

女子日本代表メンバー

 江村優有 G/162cm/早稲田大学
 三田七南 F/179cm/ENEOSサンフラワーズ
 高田静 G/168/ENEOSサンフラワーズ
 中田珠未 C/182/ENEOSサンフラワーズ
(予備登録選手)
 高橋未来 G/169cm/デンソー アイリス
 山口奈々花 F/181cm/アイシン ウィングス

中田珠未

「3×3をやることで絶対に上手くなります」

日本の3×3のスタイルは、ここ数年で固まりつつある。ディフェンスではサイズがなくても1対1で守ることができ、ビッグマンに対して高さでやられるケースはあっても簡単にはボールを入れさせない、そしてコンタクトを厭わず戦える強さがあり、オールコートで常にプレッシャーを掛けられること。オフェンスは全員が2点シュートを積極的に打てること。シュートが得意な選手は2ポイントラインから下がった位置からのディープツーも狙えること。そしてディフェンスと同じく常にスピードで相手を振り回すスタミナが求められる。

男子日本代表では落合知也と保岡龍斗の東京オリンピック出場メンバー、3×3での成長が著しい佐土原遼、Bリーグでは外国籍のビッグマンと戦いつつ3ポイントシュートを武器としているトーマス・ケネディが招集された。3×3のパイオニアである落合を筆頭にチームとしての経験値を武器に、ワールドカップで上位進出を目指す。

女子は一転してフレッシュな顔ぶれ。三田七南と中田珠未は5月上旬にウィメンズリーグに出場したメンバー。20歳の江村はアンダーカテゴリーが主体ではあるが数多くの大会に参加しており、日本人としては2位となる個人ランキング50位に食い込んでいる。高田静は3×3の経験は少ないが、Wリーグで見せている前から激しく当たるプレッシャーディフェンスが3×3でも猛威を振るうことに期待したい。

女子日本代表のヘッドコーチを務める長谷川誠は「世界に通用するスピードのあるバスケを披露したい」と意気込む。今回の女子日本代表メンバーは予備登録選手も含めて全員がWリーグ所属の選手だが、東京オリンピックのメンバーだった馬瓜ステファニーや山本麻衣がそうだったように、3×3で国際経験を積むことは選手たちの大きな成長に繋がる。

長谷川ヘッドコーチは言う。「日本のバスケを変えるのは3×3しかない、というぐらいに私は思っています。3×3をやることで絶対に上手くなりますし、精神的にもすごく強くなる。前回のウィメンズリーグでも早朝に日本を出発して夜中に現地に着いて、翌朝軽く練習してすぐに試合でした。試合と試合の間も外で地面にマットを敷いて休んでいます。日本ではあり得ない厳しい環境ですが、選手は文句一つ言うことなく今持っているベストの力を出そうとしています。本当はそういうタフな戦いをしている姿を現地に見に来てほしいぐらいですが、是非応援してください」

FIBA 3×3ワールドカップ2023 試合日程

5月31日 19:25 男子日本代表vsスイス
5月31日 22:25 男子日本代表vsオランダ
5月31日 25:15 女子日本代表vsオーストラリア
5月31日 27:25 女子日本代表vsドイツ
6月 2日 19:25 男子日本代表vs ハンガリー
6月 2日 22:25 男子日本代表vsモンゴル
6月 2日 27:15 女子日本代表vsポーランド
6月 2日 28:45 女子日本代表vsエジプト
6月 3日 プレーイン、準々決勝
6月 4日 準決勝、3位決定戦、決勝
(すべて日本時間)