ディフェンスで貢献するもオフェンスは振るわず
千葉ジェッツは琉球ゴールデンキングスとのBリーグファイナル第2戦に73-88で敗れ、目標としていた天皇杯との2冠を逃した。
千葉Jは得意とするはずの3ポイントシュート攻勢を受け、序盤に2桁のビハインドを背負った。それ以降はオフェンスリバウンドやインサイドでの戦いで互角に渡り合い、徐々にリズムを取り戻すと第3クォーターには一時逆転するなど、第1戦に続き白熱の戦いを演じた。。しかし、「昨日も今日もベンチの得点が45点。ベンチの活躍がすごかった」とジョン・パトリックヘッドコーチが語ったように、出場したすべてのベンチメンバーがそれぞれの持ち味を発揮した琉球に終盤に突き放されてしまった。
原修太も「出てくる選手、出てくる選手がクオリティの高いバスケをしていました。10人くらいでめちゃくちゃクオリティの高いバスケをずっとしていたので、ウチの敗因と言うよりも琉球さんが優勝した要因だと思います」と言い、琉球のセカンドユニットを素直に称えた。特に同じ千葉県出身で学生時代から切磋琢磨してきた琉球の田代直希には「彼も2年間苦しいシーズンを送っていたので、友達としておめでとうと言いたい」とエールを送った。
原はこの試合でも千葉Jの守備の要として、フィジカル色の強い強固なディフェンスを見せた。しかし、オフェンス面では放った5本すべてのフィールドゴールを外し無得点に終わった。
第1戦の原は琉球のエースである今村佳太をほぼ完封しつつ、スイッチ時にはアレン・ダーラムら自身よりも体格やパワーで上回る相手とマッチアップし、アドバンテージを与えなかった。だが、ダブルオーバータイムまでもつれたこともあり、プレータイムは44分22秒まで伸びた。原は「それは琉球さんも同じだと思うので大丈夫です」と言い、第1戦で蓄積したダメージが誰よりも大きかったのは明らかだが、シュートが入らなかった理由に身体的疲労を挙げなかった。
「崩していくプレーもやっていたらよかったと後悔しています」
普段の原は常に勝っても負けても喜怒哀楽の感情を大きく表に出さず、良い意味でフラットに対応する。それでも、敗戦直後に率直な感想を問うと、自身のパフォーマンスが低調だったこともあり、厳しい表情のまま「悔しいです」の一言に留めた。そして、シーズンが終了したということを強調し、このように試合を振り返った。「全員が同じメンバーでやることはないので課題も何もないんですけど、正直、僕の仕事であるディフェンスはできたとは思います。でも、もっとボールを要求して、崩していくプレーもやっていたらよかったと後悔しています」
「後悔」という言葉を口にしたが、それはあくまでも敗戦の理由を探したがゆえに出た言葉だ。優勝を逃したものの、今シーズンの千葉Jは天皇杯を制し、レギュラーシーズンの最高勝率記録を塗り替えるなど、素晴らしいシーズンを過ごした。その事実が色あせることはなく、原もそれには胸を張る。「その記録を抜かすチームが出てくるかは分からないですけど、60試合で7敗しかしなかったのはめちゃくちゃすごいことです。ましてやケガ人もめちゃくちゃ多い中でこうやって素晴らしい仲間と歴史に残る記録を残せたのはその一員として誇らしく思います」
「まぁ終わったので」と、原は終始振り返ることを拒むような発言を繰り返した。それは悔しさの裏返しであるとともに、前しか向かない彼の決意のように映った。そして、「次のシーズンでは大事な試合で自分から崩せるような選手に、もっとチームを勝たせられる選手になっていきたいと思っています」と言い、力強い歩調で横浜アリーナを後にした。