デリック・ホワイトが値千金の逆転ティップショットを決める
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もはや感嘆詞しか出てこない東のカンファレンスファイナル第6戦は、試合を通して押され続けていたヒートが残り3秒にジミー・バトラーのフリースローで大逆転したかと思いきや、デリック・ホワイトがブザービーターのティップショットを決め、セルティックスに史上4チーム目となる『3連敗からの3連勝』をもたらしました。
ヒートはケビン・ラブを外し、シリーズで好調のケイレブ・マーティンをスターターに加えてきました。21得点15リバウンドとスタッツに残る大活躍だけでなく、ジェイソン・テイタムのフィールドゴール成功率を38%に抑え込む個人ディフェンスと、チーム全体がスピードアップしたことでチェイスディフェンスが効き、セルティックスの3ポイントシュート成功率を20%に抑えることに成功。ヒートの修正が光ったことでロースコアの展開となりました。
セルティックスから見ると第4戦で16本、第5戦で12本も放ったコーナーからの3ポイントシュートを止められた形です。本来は打てなくてもディフェンスを広げるスペーシングができているため、テイタムとジェイレン・ブラウンがドライブ突破していけば問題なかったはずで、実際に2人のエースは2ポイントシュートとフリースローで57得点を奪いました。しかし、ドライブではなくステップバックの3ポイントシュートを選択したがるテイタムの悪い癖が出て、しかも8本のアテンプトすべてを外しリズムに乗れませんでした。
ヘッドコーチのジョー・マズーラはテイタムのプレーチョイスが悪いとタイムアウトを使って修正を繰り返しましたが、良い形に戻してリードを奪っても、また悪い形に戻ってしまいました。第2、第3、第4クォーターそれぞれで10点リードに持っていくシーンがあったものの、そこから突き離せずに、接戦のまま終盤に持ち込まれました。
ヒートのオフェンスはケイレブに加え、ベンチからダンカン・ロビンソンが13得点を奪っただけでなく、オフボールで絶えず動き回ることでセルティックスを混乱に陥れるなど、ロールプレイヤーたちの働きは効いていたのですが、エースのジミー・バトラーはブラウンとホワイトにプレーのすべてを読まれ、終盤までフィールドゴール成功率は15%と酷い状況でした。あまりにも酷い状況を修正するために、第2クォーターだけで3つのタイムアウトを使うなど、ヒートは点差以上に追い込まれる内容でした。
ところが残り4分から13得点を奪うバトラーの大活躍で試合は混沌とします。マッチアップ相手がマーカス・スマートに代わると息を吹き返したように得点を重ね、そして残り3秒では自身のファンブルから強引にシュートに持っていき、ファールドローを成功させて試合をひっくり返しました。『バトラーの真骨頂』とも言うべきクラッチタイムの固め打ちでファイナルへの切符を掴んだように思えました。
セルティックスのラストプレーはテイタムに打たせるプレーを準備しましたが、スローインをマークしていたマックス・ストゥルースがダブルチーム気味にテイタムへのパスコースを消したことで、スマートが苦し紛れの3ポイントシュートを放つことになりました。この時、スローインをしたホワイトはパスと同時に迷うことなくリバウンドに飛び込み、残り0.1秒、フリーの状況で劇的なティップショットを決めきりました。最後まであきらめることなく、かつ冷静な状況判断をしたホワイトの知性が光った勝利でもありました。
まさかの展開となった第6戦でしたが、シリーズはまさかの『GAME7』に持ち込まれることになりました。お互いのロールプレイヤーの活躍が光るシリーズは、わずかな差が勝敗を分けることになり、文字通り最後の最後まで目が離せない展開になりそうです。