ジャック・クーリー

「ファイナルは自分たちの実力を示すことができる絶好の機会です」

5月27日、琉球ゴールデンキングスは千葉ジェッツとのチャンピオンシップファイナル初戦に臨み、ダブルオーバータイムまでもつれた激闘を96-93で制した。

琉球にとって大きな勝因となったのはセカンドチャンスポイントで26-11と優位に立ったこと、千葉Jの強みであるファストブレイクポイントで12-12と互角に渡り合ったこと。この2つの肝となる部分で理想的なスタッツを残せた要因は、リバウンド争いでアドバンテージを得たからに尽きる。そして、その立役者となったのは、第4クォーター途中でファウルアウトしたものの、14得点に加え7️つのオフェンスリバウンド含む12リバウンドを挙げたジャック・クーリーだ。

振り返れば76-87で千葉Jに敗れた今年の天皇杯ファイナルにおいて、クーリーは6得点8️リバウンド(オフェンスリバウンド1本)と本領を発揮できなかった。また、レギュラーシーズンでの対戦でも、琉球が勝った試合では14得点、8本のオフェンスリバウンドを含む17リバウンドを記録したが、敗れた試合では8得点5リバウンドと不発に終わっていた。

この大一番で本来の力を発揮したクーリーは、次のように試合を振り返る。「チーム全員が良いプレーをしました。いくつかの部分で苦戦しましたが、ディフェンスが素晴らしかったです。また、オフェンスでは千葉さんを混乱させることができたと思います。チャンピオンシップの広島(ドラゴンフライズ)戦の映像をたくさん見て、インサイドで押し込むことができました」

また、クーリーは「天皇杯ファイナルの雪辱を果たす時という思いを持っていました」と続けたが、そこには次のような理由もある。「あの試合は体調が万全ではなかったです。もしかしたら、プレーすべきではなかったもしれないですが、僕はこのチームが大好きなので出場しました。ファイナルは自分たちの実力を示すことができる絶好の機会です」

ジャック・クーリー

「本当に団結しているので、僕たちに勝つのは大変」

ファウルアウトしたことで、オーバータイムをベンチで見守ることしかできなかった点について「胸が締め付けられる思いでしたし、ストレスが溜まりました」とクーリーは振り返るが、チームメートへの信頼が揺らぐことはなかったという。「アレン・ダーラムは、これまで僕が見てきた中でも屈指のパフォーマンスでした。彼の活躍には脱帽するしかないです。(今村)佳太に対しても同じです。彼はたとえシュートが入らない時でもハードなプレーを続けました。キシ(岸本隆一)はリーグでも屈指のタフな選手です。彼はたとえ相手にやられても、しっかりとやり返します。チームにはいろいろな強みを持った選手たちがいて、本当にみんなを誇りに思います」

クーリーにとって琉球は今シーズンで4年目となる。1年目は西地区首位に立ちながらもコロナ禍によるシーズン中断でポストシーズンは開催されなかった。そして2年目はセミファイナルで千葉Jに敗れ、3年目の昨シーズンはファイナルに進出するも宇都宮ブレックスの前に2連敗で涙をのんだ。こうした悔しさを糧に前進を続ける琉球はついにファイナルで1勝を挙げた。文字通りあと一歩に迫ったタイトル獲得への想いをクーリーはこう語る。

「ここまで65試合を戦って、ついに優勝まであと1勝となりました。千葉Jは素晴らしいチームです。ハードにプレーし、どんな試合でも爆発力を発揮してきます。だからこそ、勝つためには自分たちのやるべきことを遂行しないといけないですが、その自信はあります。富樫(勇樹)選手をもう少し抑えないといけない。(ヴィック)ロー選手や(クリストファー)スミス選手に対して良いディフェンスを続けていくことです」

第2戦も初戦と同様に、リバウンド争いに勝って、相手のトランジションをいかに抑えられるかが勝利のカギとなる。だからこそ、26得点22リバウンドを奪われたジョン・ムーニーに対し、クーリーがどれだけ重圧をかけられるかは大きな注目ポイントだ。ムーニーは試合終了間際に足首を痛めた模様で、どんな状態なのか詳細は分からない。ただ、クーリーは、ムーニーが明日コートに立てることを望んでいる。そこには彼の譲れない信念がある。「ムーニーの足首が明日のプレーに問題ないことを祈っています。彼が欠場するような形は望んでいない。両チームともベストな状態で戦いたいです」

最後にクーリーは、今の琉球への確固たる自信を強調する。「チームとして本当に団結しているので、僕たちに勝つのは大変だと思います。明日、優勝を決める良い日とするためにベストを尽くします」

この団結にはもちろん、遠い沖縄から駆けつけた多くのファンも含まれている。「(桶谷大)ヘッドコーチは、横浜アリーナを沖縄アリーナに変えましょうと言いました。そしてファンの皆さんの素晴らしい応援で、それが実現されていました」。ファンも含めた琉球に関わる全ての人々の願いを叶えるため、今回以上の大暴れを誓い、クーリーは明日のコートに立つ。

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