クラッチタイムに両チームに明暗、ヒートがセルティックスに2連勝
第4クォーター残り6分半から試合はヒートアップした。ジェイレン・ブラウンのキックアウトを受けたグラント・ウィリアムズがジミー・バトラーの手前から3ポイントシュートを決める。するとバトラーはお返しとばかりに1対1を仕掛け、ウィリアムズの胸を当ててくるフィジカルなディフェンスをモノともせずにバスケット・カウントをもぎ取る。この攻守の直後、熱くなった2人は額と額を合わせて激しく何かを言い合った。
この時点でセルティックスが96-89でリード。第3クォーター終盤に2桁のリードを奪ったセルティックスが優位に立っていたのだが、それをヒートがひっくり返す。結果的に『プレーオフ・ジミー』を目覚めさせたことでヒートのインテンシティが一段階上がった形となった。
残り3分からバトラーの連続得点で逆転したヒートは、そのままリードを守って111-105で勝利を収めている。これで東のカンファレンスファイナルはヒートの2勝となった。
試合後の会見で、ウィリアムズとの衝突で気持ちが奮い立ったか、と質問されたバトラーは「そうだね。でも単に競い合っただけ。彼はビッグショットを決めて僕を挑発してきた。あれは勝ちたい思いをさらに強くし、僕を笑顔にさせた」と言う。
そしてバトラーは「彼が話すべきは僕だけじゃない」と、チームで戦い、チームで勝利を勝ち取ったことを強調する。この試合でのバトラーは、クラッチタイムに勝負強さを見せたものの、試合を通じては止められるシーンも少なくなく、27得点は挙げたもののセルティックスのエース、ジェイソン・テイタムの34得点には及ばなかった。
だからこそバトラーはチームメートの頑張りを称え、それが結果に繋がったことを喜ぶ。「ケイレブ(マーティン)は素晴らしいプレーをした。バム(アデバヨ)もそうだ。全員がエネルギーを高く保ち、集中してプレーしていた。そういうゲームだったんだ」
クラッチタイムにプレーの強度と精度を高められるかが接戦の勝敗を分ける。この試合でのヒートとセルティックスの戦いぶりは対照的だった。クラッチタイムの戦い方で両者にどんな差があるのかと問われたバトラーは、セルティックスについては「何本かのシュートを外しただけ。そういうこともある」とだけ語り、自分たちの戦い方をこう説明した。
「第4クォーターの僕らのゲームプランはシンプルだ。端的に言えば『動きの中で僕にボールを持たせてくれ』という感じ。僕は正しいプレーを心掛ける。自分で打つこともあるけど、空いている選手がいればパスを出す。僕は自分がフリーな味方を見付けるのが得意だと思っている。僕はすべてのチームメートをプレーに絡めたいんだ。僕の活躍はいつもチームメートのおかげだよ。パスを出せば決めてくれる。ディフェンスで抜かれても誰かが必ずカバーしてくれる」
その信頼関係が『プレーオフ・ジミー』を支えている。「僕はこのチームの仲間たちに大きな信頼を寄せている。この1年、僕らは互いに支え合ってこの旅を続けてきたんだ」
周囲は第8シードからの躍進を大きなサプライズと考えているが、バトラーは「僕たちは気にしていない」と言う。「これまでもそうだったし、これからも気にはしないよ。僕らは自分たちに何ができるか分かっている。最後までみんなで一緒に戦い続けるだけさ」