ジョエル・エンビード

「僕らにはまだやるべき仕事がある。僕一人では勝てない」

セブンティシクサーズのジョエル・エンビードがシーズンMVPを受賞した。

エンビードは過去2シーズンもシーズンMVPの候補者に入っていたが、いずれもニコラ・ヨキッチの後塵を拝して2位だった。それが今回、100人による投票で1位票を73集めた。候補者となったライバルのうちヨキッチは1位票が15票、ヤニス・アデトクンボは12票、ジェイソン・テイタムとシェイ・ギルジャス・アレクサンダーには1位票が入らず、エンビードの圧勝となった。

エンビードは2014年のNBAドラフト全体3位で指名された後、最初の2シーズンをケガで出られない苦難のスタートを経て、その後もケガに悩まされてきた。それでも2016-17シーズンのデビューから着実に成長して、2018年から6年連続でオールスターに選ばれている。

今のNBAで注目を浴びるのは自分でプレーを作って点の取れるガードやフォワードで、センターは脇役になりがちだ。エンビードはその枠から抜け出し、チームメートからパスを引き出して主役を演じる稀有なセンターとなっている。今シーズンは1試合平均33.1得点を挙げて得点王となり、10.2リバウンド、4.2アシストを記録。シクサーズを強力に牽引した。

受賞が発表された『Inside the NBA』の中でエンビードは、「長い話なので、どこから始めたらいいか分からないな」と言う。「長い道のりで、たくさんの努力が必要だった。バスケだけじゃなく人生においても多くの経験をしてきた。だからこそ素晴らしいんだ」

遠征先のボストンからリモートで出演したエンビードの背後では、チームメートたちが見守っている。エンビードは彼らの存在を『誇り』だと何度も語った。

「彼らなしには達成できないことだ。僕を信頼して、成功を収めるための場所に導いてくれた。僕のために多くの犠牲を払ってくれてもいる。だから僕はみんなに感謝しているんだ。ただ、彼らに言いたいのは『5分だけお祝いして、仕事に戻ろう』ということ。僕らはシリーズを勝ち抜かなきゃいけない」

シクサーズはセルティックスとプレーオフのカンファレンスセミファイナルを戦っており、エンビードがケガで欠場したにもかかわらず初戦で競り勝ち、明日の第2戦に備えている。「昨日の勝利は大きかったし、この先も多くの勝利が待っていると思う。僕が回復するための時間を与えてくれるみんなを誇りに思う」

「僕らにはまだやるべき仕事がある。僕一人では勝てない。シーズンを通して僕はみんなを必要としてきたし、これからもそうする。チームワークで戦うんだ」

明日の第2戦にエンビードが出場できるかどうかは「様子を見て」とのこと。彼が出場できるかどうかはシクサーズにとって大きな違いだが、このタイミングでのMVP受賞は、彼だけでなくチームに弾みを付けるに違いない。