全員バスケとディフェンスで大学日本一に
第70回のインカレは今日が最終日。男子決勝は東海大が持ち味を発揮して専修大を下した。
試合開始から大倉颯太のピック&ロールから多彩な展開でどの選手もフィニッシュに絡む東海大が先行。大倉は的確なプレーでオフェンスを組み立てながら、チャンスがあれば積極的にシュートも放ち、オフェンスの流れを作り出した。対する専修大は197cmのアブ・フィリップのポストプレーが決まるが、外を崩すことができずインサイド一辺倒に。リバウンドで上回った東海大が第1クォーターで22-12と先行した。
第2クォーター、東海大はセカンドユニットの時間。平岩玄と八村阿蓮がベンチに下がったことでインサイドが弱くなるかと思いきや、4年生センターの鶴田美勇士がしっかりとゴール下を支え、寺嶋良がトランジションオフェンスを作り出す。津屋一球はタイトな守備でオフェンスファウルを誘い、佐土原遼が豪快なドライブレイアップで得点と、出場全員が持ち味を発揮した。
逆に専修大は攻守に奮闘していた西野がベンチに下がるとペースダウン。しばらく停滞した後にフィリップ以外の選手にも積極性が出てオフェンスが活性化し、なかなか決まらなかった3ポイントシュートを大澤希晴が決めるが、東海大はこの時に呼吸を整えたスタメンがコートに戻っていた。すぐさま西田優大が速攻を返し、八村がオフェンスリバウンドを押さえてゴール下をねじ込み、42-28と東海大がリードして前半を終えた。
打ち合いでは不利、ディフェンスから流れをつかむ
それでも後半、ターンオーバーからの速攻を盛實海翔が決めたのをきっかけに専修大に勢いが出る。西野もポストプレーから八村との1on1を決めて連続得点。速い展開から西野がフィニッシュする形で専修大がついに流れを呼び込んだ。
それでもフィリップのアタックを身体を張って八村が止め、ルーズボールにダイブして速攻を出させないハッスルで、東海大は流れを引き戻す。ディフェンスへの意識とボールへの執着心を強めた東海大が第3クォーター残り1分10秒で60-47と再びリードを広げ、最後2つのポゼッションは大倉の出番。ディフェンスの間隙を突くドライブレイアップ、ブザービーターの3ポイントシュートで専修大を突き放した。
第4クォーター、東海大は秋山皓太、鶴田、寺島、佐土原とベンチメンバーを入れて攻守の強度を保つ。残り7分半、盛實が強引に放った3ポイントシュートを決める。日本大との準決勝では盛實がここから波に乗り、連続3ポイントシュートで一気に劣勢を覆したが、東海大ディフェンスはその再現を許さない。逆に速攻からゴール下にアタックした佐土原を止めた西野がアンスポーツマンライクファウルを取られ、専修大の勢いは削がれてしまった。
終盤、専修大は猛攻を仕掛けるも、意識が攻めに傾きすぎれば隙も出る。東海大は落ち着いてそこを突き、キャプテンの内田旦人がオープンで放ったコーナースリーをきっちり決めてリードを保つ。また前から激しいプレッシャーを掛けられても、ボールハンドラーの大倉がイージーなミスをすることなくコントロールし続けたのも大きかった。
残り50秒、大倉がプレッシャーをかわして繋いだボールは左ウイングで待つ内田へ。24秒のブザーとともにこれを決めて86-67とし、勝負アリ。最後は両チームともに上級生ラインナップをコートに送り、試合終了のブザーを聞いた。88-70、東海大が5年ぶりの優勝を成し遂げた。
殊勲の1年生ポイントガード大倉「目指すは4連覇」
陸川章監督は試合をこう振り返る。「今日の決勝戦、専修さんは平均80得点以上を取っているチーム。それを下げようと、我々のディフェンスで勝負しようと臨みました。特に前半は素晴らしい展開でリードできてうちのペースで試合ができました。トランディションやスリーポイントで得点を取られても慌てずに試合ができました。みんなの勝利だと思います」
強調したのはセカンドユニットを含めたチーム全体の勝利であること。「今まで違うのは、先発はエースの5人ですが、他のメンバーが今日も含めて本当にチームを救ったり、流れを変えたりしてくれました」と陸川監督は言う。「先発陣はアンダー世代の代表で7月、8月とチームにいなかったです。その間、相当にトレーニングを積んで、2チームで戦える布陣ができました。主力にケガがあっても戦力が落ちずにできる層の厚さ、総合力がありました。それが今までの東海とは違う強さかと感じます」
1年生ながらポイントカードとしてチームを引っ張り、決勝でも17得点10リバウンド4アシストと活躍した大倉颯太は「目指すはインカレ4連覇。陸川さんのもとでいろいろと教わっていきたい」と充実のシーズンを締めくくった。