遠藤善

劣勢のスタートも守備からエナジーを出すことで持ち直し、延長の激闘を制す

4月22日、新潟アルビレックスBBがホームで富山グラウジーズと対戦した。立ち上がりの拙攻をゴール下への積極的なドライブで挽回すると、ここ一番でのオフェンスリバウンドなど球際の強さで上回り、オーバータイムの激闘を89-77で制した。

試合の出だし、新潟はジョシュア・スミスのローポストを起点とした富山のパッシングゲームに苦戦。守備のズレを作られ、喜志永修斗に連続3ポイントシュート成功を許すなど外から効果的に決められてしまう。一方、オフェンスは富山とは対照的にボールムーブに欠けることで単発のシュートが続き、開始5分で2-12と大きくつまずいた。富山は3ポイントシュート5本中5本成功と最後までシュートタッチが良く、12-24と劣勢のままで第1クォーターを終える。

第2クォーターに入ると、さすがに富山のシュート確率も落ち始める。一方の新潟もリングに嫌われる惜しいシュートが何本かあるなど、ともに決定力に欠けてこう着状態に陥る。しかし、新潟は守備の強度を高めることでトランジションが出るようになり、反撃を開始する。残り5分半の時点で12点のビハインドが、杉本天昇の連続3ポイントシュートなどもあり、1点差にまで縮めて前半を終えた。

第3クォーターに入っても新潟の流れが続くと、富山は中心選手のスミスが負傷退場に。これで新潟にゴール下へのアドバンテージが生まれると、ロスコ・アレンがドライブを仕掛けて得点を量産し、新潟は56-50と逆転に成功する。

また、第4クォーターには富山の帰化枠のファイ・サンバもファウルアウトとなり、新潟はよりサイズで優位になる。しかし、日本人選手3人とマイルズ・ヘソン、ノヴァー・ガドソンによる富山のスモールラインナップのスピードに後手に回ってしまい、外から効果的に決められ残り5分に追いつかれてしまった。ここから共に終盤にタフショットを決めるなど譲らず、試合は延長に突入する。オーバータイムになると、ガス欠となった富山はトランジションが出せない。これで外からの単発シュートばかりとなり、5分間でフィールドゴール9本中1本成功と失速した。一方、新潟は最後まで強気のインサイドアタックを貫くことで得点を重ね、激闘を制した。

新潟のコナー・ヘンリーヘッドコーチは、第1クォーターの遅れを挽回できた要因をこう語る。「試合の出だしはエナジーが足りなくて、失点を重ねてしまいました。ただ、第2クォーターに守備からエナジーを出すことでやり返すことができて、リズムが生まれてきました」

さらに、得点が伸びた理由とオーバータイムでわずか2失点に抑えられた背景をこのように続けた。「ターンオーバーから16得点、セカンドチャンスポイントから19得点とアグレッシなプレーができたと思います。また、オーバータイムでは相手がスモールで来ていたので、スイッチを使ってのディフェンスを徹底しました」

遠藤善

「自分たちのリズムになってからはやりたいバスケットができて勝利に繋がった」

この試合、新潟はアレンが27得点15リバウンド、ケヴェ・アルマが24得点8リバウンド5️アシストと大活躍だった。だが、2人よりも長い39分46秒に渡ってコートに立っていたのが遠藤善だ。8得点5アシスト4リバウンドのスタッツ以上のインパクトを残した遠藤は、次のように試合を振り返る。「ゲームの入りは本当に悪くて、自分たちのリズムに持ってくるのに時間がかかりました。ただ、自分たちのリズムになってからは、やりたいバスケットができていたので勝利に繋がったと思います」

そして、新潟のリズムを作ることができたのは、指揮官も評価したターンオーバー奪取からの得点に代表される、ディフェンスの立て直しが大きかった。遠藤も「相手が外国籍選手をメインに点を取ってくる中、彼らをチーム全員で守ることで自分たちのやりたい走るバスケットの展開に持っていくことができました」と、勝因を語る。

この守備のキーマンとなったのが遠藤だった。富山がサンバ、ヘソン、ガドソンのビッグラインナップを使用した際には、ガドソンのマークについて奮闘した。日本人同士のマッチアップでも182cmの遠藤は191cmの晴山ケビン、197cmの小野龍猛に対して、高さの不利を補うタフなディフェンスを見せており、本人も手応えを感じている。「ミスマッチではありましたけど、向こうにやりたいことをやらせずにできました。最後の3ポイントシュートのファウル以外は、良いディフェンスができたのではないと思います」

大きな勝利を挙げた新潟だが、引き続きB1残留へ崖っぷちの状況は変わらない。精神的に大きな重圧はかかるが、遠藤に気負いはない。「残留するために、残り試合を全部勝つことしか考えていないです。だから、ある意味、吹っ切れてプレーできたと思います」

今日の第2戦、新潟が連勝を挙げるには引き続きどれだけディフェンスで踏ん張れるかが重要となる。そのためには遠藤のタフな守備が欠かせない。