ジャック・クーリー

桶谷ヘッドコーチ「間違いなくチームディフェンスのおかげです」

琉球ゴールデンキングスは4月12日、アウェーに乗り込んで島根スサノオマジックと対戦。試合序盤から持ち味である強度の高いディフェンスを継続することで島根の強力オフェンスを封じ込め87-72で快勝した。西地区首位決戦を制した琉球は島根とのゲーム差を2に縮めるとともに、直接対決の結果も2勝2敗に。さらに得失点差でも琉球が上回り、もし同率となった場合は琉球の順位が上となることで、西地区の優勝争いは白熱の展開になっている。

試合の出だしから、琉球は島根のニカ・ウィリアムスの欠場により優位に立ったサイズのアドバンテージを強調したオフェンスを展開する。そしてビッグマンがインサイドでボールを持った際の相手のトラップ、ダブルチームに対しても素早くパスを散らすことで守備のズレを作り出し、確率良くシュートを決めていく。一方、島根はオープンシュートを決めきれず琉球が15-5と流れに乗る。

また、琉球はボールマンに激しくプレッシャーをかける守備を継続することで、第2クォーターに入っても主導権を握った。途中でインサイドに固執し過ぎてオフェンスが単調になり、ターンオーバーが続く場面もあったが、この時間帯でも守備では集中力を切らさず島根にタフショットを打たせ続け、36-27で前半を終える。

第3クォーターに入ると、ペリン・ビュフォードにドライブから連続得点を許す嫌な展開となったが、彼を起点にした攻撃から島根がオープンシュートを決めきれないことに助けられた。その結果、本日19得点の今村佳太が確率良くシュートを沈めるなど、決定力の差を見せてリードを2桁へと広げていく。そして、第4クォーターに入ってもジャック・クーリーのオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントなど、強みのインサイドから着実に得点する隙のないゲーム運びで危なげない勝利を収めた。

琉球の桶谷大ヘッドコーチは、72失点が示すようにディフェンスでつかんだ勝利と振り返る。「第4クォーターはちょっとペースが速くなり点の取り合いになってしまいましたが、それ以外のところは、自分たちのディフェンスをハードにやりながら、島根さんのやりたいオフェンスをしっかり抑えられたと思います。もちろん、ニカ選手がいなくて、島根さんは最初にリズムをつかめなかった。そこで自分たちはファーストパンチができて、リズムをつかめた。そこはツキもあったと思います」

島根のダブルエースであるビュフォード、安藤誓哉に対して、「前半は完璧でした」と指揮官が振り返ったように、2人ともに前半を無得点に抑え、序盤から守備のリズムに乗れたことが大きかった。試合全体でもビュフォードをフィールドゴール14本中4本成功の13得点、安藤を11本中2本成功の5得点に封じることができたのは、「間違いなくチームディフェンスのおかげです」と指揮官は続ける。

「ボールマンプレッシャーをかける選手だけでなく、ヘルプに行った選手など全員がしっかり責任を果たしてくれたことで、(安藤、ビュフォードともに)あの成功率になったと思います」

ジャック・クーリー

「ポストシーズンを想定した試合で、自分たちがやりたいプレーができました」

ゴール下の守護神として琉球の堅守を支えるとともに、オフェンスでも圧倒的なパワーによるペイントアタックで得点を重ね、勝利の立役者となったのがジャック・クーリーだった。20得点14リバウンド2アシスト2スティールを挙げたビッグマンは「とても良い試合でした。ディフェンスの遂行レベルが高く、島根さんのやりたいプレーを止めることができたのが大きな鍵でした。試合序盤からとてもハードにプレーできました」と勝因を語る。

そして、今回の地区首位決戦をこのように重要視していた。「島根さんを抜かして地区優勝を達成する。そしてファイナルまでのホームコートアドバンテージを獲得するために、今日はレギュラーシーズンの1試合以上の意味を持つものととらえていました」

「また、チャンピオンシップへの準備として、高いインテンシティで、残りのレギュラーシーズンを戦っていくための第一歩となる。その意味でも重要でした。ポストシーズンを想定した試合で、自分たちがやりたいプレーができました」

もちろん「ウィリアムス選手がいなかったことは理解しています」と島根が万全でなかったことをクーリーは忘れないが、難敵相手に充実した内容での勝利に大きな手応えを得ている。「素晴らしい島根さんを相手に、今日のようなプレーをできたことを誇りに思います。自分たちがやるべき今回のようなディフェンスをシーズン終盤、チャンピオンシップと続けていきたいです。それができれば成功を収めることができます」

この価値ある勝利で得た勢い、自信を確固たるものとするためにも今週末、アウェーでの滋賀レイクス戦を勝ち切ることができるかは、琉球にとってレギュラーシーズン終盤に向けての大きな試金石となる。そのためには引き続きクーリーがゴール下でしっかりアドバンテージを作り出すことが重要となってくる。