今オフはポルジンギスとクーズマの契約延長、『ビッグ3』維持に動く
ウィザーズは35勝47敗でシーズンを終え、2年連続でプレーオフを逃した。12月に喫した10連敗以降は勝率5割に届かず、早々にプレーオフ戦線から脱落。ブラッドリー・ビールはシーズン最後の会見で「ガッカリしている。僕らは高い目標を掲げていたのに、それを大きく下回った」と語る。
ビールは40試合にしか出場できなかった昨シーズンに続いてケガに苦しみ、出場試合数は50試合に留まった。ビールにクリスタプス・ポルジンギスとカイル・クーズマを加えた『ビッグ3』を中心とした戦いで、再建期を経ることなくプレーオフ戦線に戻る想定だったが、3人が揃ってプレーしたのは35試合だけだった。
失意のシーズンからビールは良かった点を探した。「オールスター前は17勝10敗だった。みんな良いプレーをして、それが噛み合えば、このチームが強豪相手に勝つ力があることは示せたと思う。若手の成長もあった。例えばコーリー(キスパート)は素晴らしいシーズンを過ごした。もちろん、みんなもっと成長しなければならないけど、若い選手は与えられた機会をよく活用してくれたと思う」
「つまり、全員が揃って健康であれば僕らは期待できるチームなんだ。でも、もっとそうあるべきだとも思っている」とビールは言う。
「クーズマの成長は楽しみだし、KP(ポルジンギス)が1年間健康でプレーするのも大事だ。その2つがカギになるけど、僕も自分の身体をもっと大切にしなければならない。今シーズンはみんながケガに見舞われ、いくつかの試合を欠場することになり、シナジーを生み出せなかった。でもこれは向上の余地がまだまだあるということで、そこに期待しているんだ。誰もが何らかの形で失敗をした。だから頭を切り替えて、成長し、向上していく。それは今すぐ始めなきゃいけない」
ビールは若手の成長を収穫として挙げたが、『ビッグ3』体制である以上、他の再建チームに比べて若手のプレー機会は少なく、それで八村塁を放出することになった。ビールが2年目や3年目だった頃のように、『この選手にならチームの将来を託せる』と思えるレベルの若手が台頭しているわけでもない。中途半端に勝ちにいったことで、来たるべきNBAドラフトで目玉とされる選手が手に入る確率は低いのが現状だ。
今オフは、ポルジンギスとクーズマが契約最終年を破棄すればフリーエージェントとなる。ウィザーズは再契約に動くと明言しているが、今シーズンは活躍したものの過去はケガばかりしていたポルジンギスにどれだけの契約を提示すべきかは判断が難しい。クーズマはフリーエージェント市場の注目株で、引き留められるかは不透明だ。ルーキー契約を終えようとしているデニ・アブディヤとの契約延長も考えなければならない。
それでも、ここに大きな疑問がある。昨年オフ、ウィザーズはビールと5年間のマックス契約を結んだ。今シーズンが3300万ドル(約44億円)のポルジンギスは、昇給はせずとも長期契約を求めるだろうし、クーズマは現在の1300万ドル(約18億円)から大きな昇給を求めるはずだ。それでも、2シーズン続けて結果を出せなかった『ビッグ3』に大きな契約を与えるべきかどうか。もしクーズマを他のチームに取られ、ケガの多いビールとポルジンギスが長期契約で残ることになれば、非常に不安定なチームとなる。ビールの言う「全員が揃って健康であれば」という条件が満たされるのであれば、NBAの30チームすべてが満足のいく結果を残すはずだ。
選手たちはそれぞれ、今シーズンの悔しい思いを忘れずにオフに入り、疲弊した心身をケアしながら次の挑戦に向けた自分自身のレベルアップに取り組めばいい。一方でウィザーズ首脳陣は中長期的な視野に立ったチーム作りを考えるべきだ。そうでなければ、ここ2年続いた不振から抜け出すのは『健康かどうか』の運任せとなってしまう。