ロケッツ

ラファエル・ストーンGM「積極的に動き、ベテランを補強する」

プレーイン・トーナメントが導入されたことでレギュラーシーズン最終戦まで激しい戦いが続いたが、ロケッツvsウィザーズは100%の消化試合だった。ブラッドリー・ビールを始めとする主力が誰一人出場しない相手にロケッツは勝ったが、シーズン22勝目はほとんど注目されなかった。

その試合後、スティーブン・サイラスの解任が発表された。「3年目のシーズンも結果を出せなかったのは残念だが、私はいつも笑顔でこの仕事に取り組んでいた。若い選手たちが一生懸命に自分の成長に向き合う、その姿を見るのは素晴らしいことだった。支えてくれた人たちに感謝したい」との言葉を残して、サイラスはロケッツを去った。

17勝、20勝、22勝と悲惨な3シーズンだったが、彼の責任を問うのは少々気の毒だ。ヘッドコーチとしての挑戦を始めた途端にジェームズ・ハーデンが、そしてラッセル・ウェストブルックが去り、若くて勝ち目のないチームが残された。ただ、3シーズンもチャンスがあったにもかかわらず結果を出せなかったのでは、勝負の世界で生き残ることはできない。

ロケッツのラファエル・ストーンGMはサイラスの解任に際して「我々は一つのステージを終えて、新しいステージに入る。だから新しい声が必要だと判断した」とコメントしている。

後任候補には、ニック・ナースやケニー・アトキンソン、スコット・ブルックス、フランク・ボーゲルにサム・キャセールといった名前が挙がっている。ストーンGMはできる限り早い時期に後任の指揮官を決めるつもりだと言う。

それでもヘッドコーチ人事以上に注目されるのは、ストーンGMが語ったこのオフの補強プランだ。「ドラフトがどうなるにせよ、フリーエージェント市場で積極的に動き、ベテランを補強する。指名権やドラフトで手に入れた選手、あるいは将来の指名権を使ってのトレードに動くつもりだ」と彼は言う。

ジェイレン・グリーン、ジャバリ・スミスJr.にアルペラン・シェングン、ケビン・ポーターJr.といった若手は残るが、ベテランのほとんどは今シーズンで契約が切れるため、サラリーキャップには十分余裕がある。トレードに活用できる指名権も多く、様々な動きが取れそうだ。

中でも注目されるのはハーデンの復帰説だ。ひどい形でロケッツを離れたハーデンだが、いまだにロケッツとの結び付きは強く、地元では復帰の可能性が高いと信じられている。ハーデンはNBA優勝を成し遂げるためロケッツを去ったが、ネッツで『ビッグ3』の夢は破れた。現在はセブンティシクサーズでジョエル・エンビードと強力なコンビを築いており、それで優勝できれば任務完了、優勝できなければ今がピークのシクサーズは今後沈んでいくとして、ロケッツ復帰が実現すると人々は信じている。

33歳のハーデンにとって、契約最終年を破棄してフリーエージェントとなる今オフは、キャリア最後の大型契約の機会だ。ネッツ移籍を機に全能のオフェンスマシーンからプレーメークの比重を高めたように、来シーズンからは若手の才能を最大限に引き出す役回りを担おうと考えてもおかしくない。実質的にポイントガードとなった彼のプレースタイル変更は、今のロケッツにピタリとハマる。

下位に沈んだチームはすべて、ロッタリーで1位を引き当て、ビクター・ウェンバニャマを迎え入れることを夢見ている。だがロケッツだけは、ウェンバニャマと同じか、それ以上に欲しい人材がいるということだ。『新しいステージ』を見据えるロケッツは、シーズン中とは打って変わってオフの主役になりそうだ。