「これまでプレーした試合の数で言うと、僕にとって実質的にはルーキーイヤーだ」

ケビン・デュラントやカイリー・アービングを筆頭に、今シーズンも2月のトレード期限前に多くの選手たちが移籍した。その中でも、新天地で飛躍を遂げている代表的な存在が、ウォリアーズからピストンズへと移籍したジェームズ・ワイズマンだ。

2020年のドラフト全体2位指名と大きな期待を受けてウォリアーズに入団したワイズマンだが、プロ2年目にはシーズン全休となる故障に苦しみ、今シーズン途中には、傘下のGリーグに降格したこともあって21試合の出場で平均12.5分、6.9得点、3.5リバウンドに終わっていた。それがピストンズでは、ここまで20試合に出場し平均25.7分、13.1得点、8.5リバウンドと活躍している。

『ESPN』の取材に対し、ワイズマンは今シーズンについて「これまでプレーした試合の数で言うと、僕にとって実質的にはルーキーイヤーのようなものなんだ」と語り、今は何よりも経験を積むことが大切と強調する。

「だからこそ真剣に毎日を大切にしないといけない。そして、すぐに良くなろうとか、満足できる結果を得ようと自分自身に重圧をかけることはできない。時々、そういう思いになることもある。ただ、現状を受け入れて自分に正直になるしかない。成長するには時間がかかるものだ。今すぐ、成長することはできない。トレーニングを続けていくしかないんだ」

このように自身の現状を冷静に見ているワイズマンは、ウォリアーズにトレードされた時の心境を「これはビジネスだと実感した」と振り返る。そして、今はしっかり気持ちを切り替えている。

「これが人生だ。故障のように自分でコントロールできないものはある。起こってしまったことは仕方ない。僕は人間で毎日を大切して生きていく。そして、山あり谷ありの人生の旅を受け入れる。毎日が素晴らしいことはないからね」

元々、ワイズマンは高校卒業後にメンフィス大でわずか3試合プレーしたのみでNBAにアーリーエントリーした。他のルーキーと比べても圧倒的に実戦経験が不足している中でNBA入りしたが、常勝チームのウォリアーズでは彼を育成のために我慢して使う余裕がなかった。今のピストンズはリーグ下位に低迷していることもあり、良くも悪くもワイズマンにチャンスを与えることができる。恵まれた環境の中、彼がどこまで進化を続けられるのか、来シーズンが本当に楽しみだ。