ビハインドの展開から一気にリードをもたらすビッグショットに成功
3月25日、横浜ビー・コルセアーズはホームで信州ブレイブウォリアーズと対戦。第4クォーターまでリードを奪い合う白熱の試合を71-63で勝利した。
横浜BCの青木勇人ヘッドコーチは、63失点に抑え込んだディフェンスを勝因に挙げた。「信州さんはディフェンスが良いチームなので、簡単には点が取れない我慢のゲームになると思っていました。後半の失点を25点に抑え、ウチはコツコツと得点することができました。相手のスコアラーが狙ってくるところを消せていたと思います」
横浜BCにとって、前節に30得点を挙げた信州の岡田侑大へのディフェンスは今節の重要なポイントの1つだった。前半こそ9失点を許したが、後半に入るとマークしていた須藤昂矢を中心に、ペイントへの侵入を許さないタフなディフェンスを見せて完封。指揮官が振り返る通りの好守を見せた。また、ディフェンスの圧を上げることができた要因に、前節のシーホース三河戦での惜敗があると青木ヘッドコーチは話す。「前節に90失点をした反省から、どれだけ圧を上げられるか、プライドを持って戦えるかが重要でした。今日はしっかりディフェンスができて23ターンオーバーを奪いました。最後にはディフェンスで守り切る場面を何度も見られたので、一人ひとりが仕事をしてくれたと思います」
ディフェンスで好プレーが出る中、シューター陣も奮闘し、前半は森川正明と須藤、後半は大庭岳輝が3ポイントシュートを沈めて貢献。特に、大庭は、3点ビハインドで迎えた第4クォーター残り7分にキャッチ&シュートで3ポイントシュートを決めると、続けてトランジションスリーを決めてチームに流れを引き寄せた。大庭の得点によって前に出た横浜BCは、そのリードを一度も譲ることなく勝利を手にしている。試合のムードを変えるビッグショットを沈めた大庭は、こう振り返る。「チームとしてなかなかシュートが決まらない時間が長くて、それをベンチで見ている間に『自分にもしプレータイムがあれば、この悪い流れを切るのが自分の仕事だ』と思っていました。しっかり決め切ることができて本当に良かったです」
青木ヘッドコーチは、試合を通して12分という短いプレータイムの中でも役割をしっかりこなした大庭に対して、次のように評価している。「先日の秋田(ノーザンハピネッツ)戦でも大きな仕事(3本の3ポイントシュートに成功)をしてくれたので、『今日も岳輝の日かな』と思って起用しました。シュートだけでなく、ディフェンスも練習の時から必死に戦ってくれているので、思い切って彼に賭けることができました。岳輝はチームを勢いに乗らせるようなシューターだと思っています。相手にとって脅威になりますし、交代して力を出し切ってくれる選手がいるのは大きいです」
「勝負どころだから萎縮してシュートを打たないという選択肢は僕にはありません」
大庭は昨年末の天皇杯で足の指を骨折し、難しいシーズンを送っていた。しかし、3月8日の信州戦で復帰してから少しずつシュートタッチを取り戻し、この日の活躍に繋がった。「復帰してから9本連続で(3ポイントシュートを)外していました。ただ、すごく良いシュートも多かったので、きっかけがあれば入るという感覚でした。自分の仕事は入るまで打ち続けることです。今日の1本目もすごく良いシュートが打てたので、2本目も自信を持って打つことができました」
チームが劣勢でも、ブレることなく自分のシュートを打ち続ける大庭は、3ポイントシュートへのこだわりをこう話す。「今は長いプレータイムがあるわけではないので、短い時間でどれだけインパクトを残せるかがすごく大事です。その中で、自分の持ち味であるシュートは横浜に来てから自信を持つことができていますし、自分はシュートでこのリーグを生きていく信念を持っています」
また、この日も活躍した森川や須藤らシューター陣との違いも見せていきたいという。「森川さんとか須藤選手はシュートが上手ですし、彼らはピックを使ってペイントにアタックすることもできます。彼らと同じことをやっても、2人の方がこのチームの経験も多いので、違うところに力を入れないといけないと考えています。その中で、キャッチ&シュートを得意としているというか、他のプレーに比べれば自分が一番自信を持っているので、負けたくないところです」
「与えられたプレータイムの中で、自分のタイミングになったら打つことが重要です。なので、勝負どころだから萎縮してシュートを打たないという選択肢は僕にはありません。ファンの人たちも盛り上がるスリリングな時間に、自分のシュートで今日のように盛り上がってくれるとうれしいです。そういうプレーをこれからも見せていきたいと思います」
この日、今シーズン最多となった来場者は大庭の3ポイントシュートに大盛り上がりを見せた。今日の信州との第2戦でも、シュートへのこだわりを持ち、その信念を貫く大庭の活躍に注目したい。