佐藤ヘッドコーチ「最後は彼に助けられたような試合だった」
川崎ブレイブサンダースvs富山グラウジーズの水曜ナイトゲームは、激しい主導権の奪い合いが最後まで続く死闘となった。
序盤はスクリーンを使ってマークをはがし、ニック・ファジーカスのミスマッチを起点に攻撃を組み立てた川崎が先行する。ファジーカスはフェイダウェイにインサイドアタックからの3点プレーと内外から得点すれば、自身にマークが寄ればしっかりパスアウトしてオフェンス優位な状況を作った。開始5分半、トランジションから藤井祐眞が早くも2本目の3ポイントシュートを沈めて14-6とリードした。
しかし、富山はタイムアウトを取ってここから立て直す。ジョシュア・スミスを投入し、インサイドへ意識を向かせると、外に出きれない川崎ディフェンスの隙を突いて、マイルズ・ヘソンが3ポイントシュートを連発。このクォーターだけで10得点を挙げたヘソンの活躍もあり1点差に迫ると、第2クォーター早々にノヴァー・ガドソンのドライブで逆転した。
その後、富山はスミスを中央に置く変則的なゾーンディフェンスが機能し、川崎の得点を約3分半の間ゼロに抑えたが、徐々に崩されてノーマークで3ポイントシュートを射抜かれてしまう。こうして拮抗した展開が続き、終盤に篠山竜青が3本のフリースローを沈めた川崎が38-36とわずかにリードして前半を終えた。
後半に入っても主導権の奪い合いが続く。川崎がピック&ロールからズレを作り、ミドルシュートで連続得点を挙げて最大7点のリードを奪ったが、藤井が後半開始3分で個人4つ目のファウルを犯したところから失速していった。一方の富山はトランジションオフェンスと正確なアウトサイドシュートで対抗し、小野龍猛が3連続で3ポイントシュートを成功させ3ポゼッションのリードを得た。マット・ジャニングの個人プレーを止められず点差を詰められたが、ヘソンも1on1から得点を重ね、富山の61-57で最終クォーターを迎えた。
その後も一進一退の攻防が続いたが、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが「チームを勝たせる気持ちが見えて、最後は本当に彼に助けられたような試合だった」と語ったように、4ファウルの藤井がビッグプレーを見せる。追いかける時間が長く続く中、残り2分半に長谷川技の3ポイントシュートで同点に追いつくと、藤井の3ポイントシュートでついに逆転。リードを守り切れずに落胆する富山の隙を見逃さず、藤井はシュートを決めた直後に前線にプレッシャーをかけてボールを奪い、シュートファウルを誘発した。藤井がフリースローを2本とも沈めて5点をリードした川崎だったが、小野に3本のフリースローを与え、スミスの得点を許し残り1分12秒に追いつかれてしまう。それでも、この日16得点を挙げたマイケル・ヤングジュニアがフリースローで突き放し、24秒バイオレーションを獲得するなど富山の反撃を振り切り85-81で勝利した。
佐藤ヘッドコーチは次のように試合を総括した。「今日はジェイ(ジョーダン・ヒース)の分まで一人ひとりがステップアップして、みんなでやろうということで試合に入りました。ちょっといつもと違う役割だったり違うローテーションでリズムに乗れないところがありましたが、選手たちがよく乗り越えてくれました。苦しい試合でしたが、最後の最後に勢いを作れたのはホームのとどろきアリーナとファミリーの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます」
また、ファウルトラブルに陥りながらも、クラッチタイムに違いを作った藤井はこのように試合を振り返っている。「個人的にファウルが貯まってしまって、ターンオーバーもしてしまいチームにも申し訳なかったです。プレータイムが短くなってしまって悔しかったですが、最後に4クォーターの終盤でシュートを決めて勝ち切ることができたのは、みなさんの応援のおかげですし、チームでやってきたことの結果だと思います」
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