「最後まで勝ちにこだわった姿勢とエネルギーは素晴らしかった」
ステフィン・カリーが待望の戦線復帰を果たし、7試合で平均33.7得点と得点王ペースでオフェンスを活気付けていても、ウォリアーズの物語は変わらない。ホームでは勝てるが、アウェーでは勝てない。現地3月17日に敵地でのホークス戦を落とし、これでアウェーでは10連敗。今シーズンを通じて7勝28敗となった。ホームでは8連勝を記録しているが、勢いに乗ったかと思えば遠征で負けて帰って来る、の繰り返しだ。
現在はマーベリックスと並んで36勝35敗で西カンファレンス6位。レギュラーシーズンの残りは11試合で、そのうちホームゲームは5試合しかない。そしてマブスとはここまで1勝1敗で、3月26日に控えている3度目の対戦はダラスでの試合。ここに負けるとマブスと並んだとしても順位は下となり、プレーイン・トーナメントに回ることになる。プレーオフに進んだとしてもアウェーゲームが多く、この課題を克服しない限り上には行けない。
ウォリアーズに何が起きているのか。戻りが遅くてトランジションディフェンスが機能せず、攻めではターンオーバーが出始めるとなかなか止まらない。ホームでは抜け目のない強さを見せるが、敵地では経験豊富な『王朝』とは思えない未熟なミスで取りこぼす。
指揮官スティーブ・カーは「これはメンタルの問題ではない」と言う。ホークス戦では3ポイントシュートが40本中11本(27.5%)しか決まらなかった。特に試合ラスト6分で放った8本はすべて外している。3ポイントシュートはウォリアーズの強さを支える武器だが、常に決まり続けるとは限らない。そして、決まらない時にリバウンドを取れず、そこからのトランジションを止められないのでは、自分たちに流れを持ってくることはできない。
不可解な采配もあった。113-116と3点ビハインドの第4クォーター残り6分15秒で、指揮官カーはカリーを一度ベンチに下げ、1分ほど休ませている。この時点でプレータイムは30分を超えていたが、27得点を記録していた(最終的には31得点)。試合が最も熱いタイミングでカリーを下げることは、彼の勢いに水を差すように思える。
それはチームの勢いも殺してしまう。この1分の間にディアンドレ・ハンターの3ポイントシュートを許しているが、ドンテ・ディビンチェンゾとジョーダン・プールは、ベンチから立ち上がってコートに入るカリーに意識が向いていたようだ。それでディフェンスに戻るのが遅れ、ワイドオープンのチャンスをあっさりと与えた。試合の最後にカリーがトレイ・ヤングにボールを奪われているが、それよりずっと大きな問題がここで起きている。
カーは試合後、「ホームコートのシード権を争う年もあれば、出場権獲得のために戦う今年のような年もあるが、そのいずれにせよ私は選手たちを信じている」と話した。「彼らがどうやって優勝してきたのかを見てきた。プレーオフの時期になれば、彼らの意識がどれだけ高まるかは分かっている。だからこそ今は戦い続け、良いコンディションを保つ努力を続けなければいけない。新しい選手は経験ある選手の背中を見て何が必要かを感じる。コーチと主力、ベテランと若手のコラボレーションでチームは作られていく。今日はミスで負けたが、最後まで勝ちにこだわった姿勢とエネルギーは素晴らしかった」
ステフ・カリーはエースの役割を果たして孤軍奮闘しているが、敵地で勝てない状況を変えられない。かなりのストレスを感じているはずだが、彼は落ち着いた表情でこう語る。「ホームでどれだけ良いプレーができても関係ない。敵地での試合の難しさを実感しているし、連敗は悔しい。だけど僕たちは高いレベルで競争し続け、この壁を乗り越える努力を続けるしかない。その中で僕にもやるべきことがあり、それを続けていくよ」