ラッセル・ウェストブルック

「僕がカワイの分までチームのために話す」とリーダーシップを発揮

ラッセル・ウェストブルックは今シーズン序盤にセカンドユニットに回ることを受け入れた。この時点で彼は大きな何かを譲歩したようだ。結果として、レイカーズでの2年目も批判に満ちたものになり、トレードデッドラインで移籍することに。ジャズを経てたどり着いた新天地、クリッパーズで彼はスタメンに返り咲いたが、かつてのように攻守のすべてで自分が主役を張ろうとはしていない。

クリッパーズはカワイ・レナードとポール・ジョージのチームであることを、彼は入団初日から理解し、チームがより円滑に動くために自分に何ができるのかを探した。それから2週間、彼は自分の役割が『声』であることを見いだした。

現地3月11日のニックス戦を終えた後、カワイについて質問されたウェストブルックは「彼は素晴らしいよ。でも、彼は声を出さなくていい。僕がカワイの分までチームのために話そうと思う。カワイが必要とすることは何でも僕がサポートする。その逆をやってもらっているのと同じようにね」と語っている。

「僕はただチームを引っ張るだけじゃなく、時に批判を受け止め、チームメートの声を代弁する。その能力を神に授けられたんだと思う。カワイとジョージには、試合中に自分の視点から気付いたことは常に伝えるようにしている。それで2人が自分のプレーに集中しやすくなる」

クリッパーズに来てウェストブルックはスタッツを落としている。先発にはなったがプレータイム29.5分は移籍前とほぼ変わらず、得点は15.9から13.3へ、リバウンドは6.2から3.9へと減少。他にも点を取れる選手がいる状況で、自らの代名詞である爆発力を封印してプレーメークに重きを置いている。

それでも彼は失望していない。むしろ役割を見いだして、ポジティブに目の前の試合に取り組んでいる。「正しいプレーを見付けようとしているだけだ。バスケだけじゃなく人生全般でそうであるようにね。バスケの世界では僕は人より優れている部分があり、それを生かして誰かに何かを与えたい。リバウンド、得点、パス、バスケIQ、良きリーダーであること。すべてにおいて素晴らしくありたい。僕はずっとそうやって自分を奮い立たせてきて、それが今の自分になっている」

そんなウェストブルックについて、ポール・ジョージは「もともと彼と付き合いがあることがプラスに働いていると思う。僕だけじゃなく、チーム全員が彼の能力に期待しているけど、彼は彼らしくプレーしてくれればいい」と語る。

この環境はウェストブルックにとっても居心地が良いようで、「ありがたいことに、このチームの全員が僕を歓迎してくれた。僕は加入したばかりだけど、みんなと良い会話ができて楽しめている」と言う。

そのウェストブルックはニックス戦でキャリア通算9060本目のアシストを記録した。これはかつてのピストンズのスター選手、アイザイア・トーマスを抜いてNBA歴代9位のアシスト数となる。ただ、彼は数字を気にしていない。レギュラーシーズン残り13試合でチームをより深く知り、プレーオフで良いバスケをすることだけに集中している。