前半22点リードからあわやの展開に、「前半で相手の気持ちを折るべきでした」
中断期間明けの1試合目、サンロッカーズ渋谷は富山グラウジーズに93-91と辛勝した。SR渋谷は第1 クォーターから30-15と富山を圧倒し、前半を15点リードで折り返したが、後半に富山の猛攻を受け、試合終了残り22秒で逆転にまでこぎつけられる。ケビン・ジョーンズの得点で再逆転に成功し、同点弾を狙った富山のラストオフェンスをジョーンズのブロックでなんとかしのいだが、課題の多い試合となった。
ベンドラメ礼生は「内容的には良くないんじゃないかと思います」という言葉から、試合の総括を話した。「第2クォーター途中まではすごく良い雰囲気で試合が展開できていたけど、相手に希望を与えるような終わり方で前半を終えてしまったのが反省点です。前半で相手の気持ちを折るというか、勢いを止めるべきでした。それができず相手に勢いを与えた結果、これだけ難しい試合になってしまったので、すごく反省点の多い試合だったと思います。次にああいう展開になることはないと思うので、この反省を生かして次に繋げたいです」
SR渋谷は、22点差で迎えた第2クォーターのオフィシャルタイムアウト明けに、若手主体のメンバーをコートに送り出した。しかし、これを好機ととらえた富山にアグレッシブなプレッシャーディフェンスを仕掛けられ、オフェンスが一気に停滞。前半終了時にはリードが15点まで縮まった。
ベンドラメは続ける。「あそこで点差を詰められたことで、相手に『いけるかもしれない』という印象と希望を与えてしまいました。あそこからさらに30点離してハーフタイムに入れたら相手から戦意を奪えただろうし、後半の展開はだいぶ違っていたと思います。あそこでコートに立っていたメンバーは、ああいう展開で勢いを繋ぐことも今後の課題になると思います」
盟友との2ガード起用で開眼「あいつがいるから点を取ることに集中できる」
SR渋谷にとってたくさんの課題が浮き彫りになった試合ではあったが、ベンドラメは「良いところもたくさんあった」とも話した。激しいディフェンスを受けながらも、良いボールムーブからオープンショットを気持ちよく沈め、最終的に90点台に乗せたオフェンスはその一つ。中でも、約31分の出場時間で21得点9リバウンド8アシスト(いずれもチームハイ)というトリプル・ダブルに迫るスタッツを挙げたベンドラメのパフォーマンスは突出していた。
トリプル・ダブルは、ベンドラメ自身が今オフに「やってみたい」と話していた目標の一つ。「試合中は自分で気づけないから、まわりが『もうすぐトリプル・ダブルだよ』みたいなことを言ってほしいですよね」と笑った後、「数字を気にしたらプレーの質が悪くなりそうだし、展開的にも余裕がなかったので言われなくてよかったんですけど、達成できるならしてみたかったです」と続けた。
ちなみに、ベンドラメのオフェンス面での好調は、バイウィーク直前期からSR渋谷が取り入れ始めた、小島元基とベンドラメの2ガード起用によるところも大きい。2人が同時にコートに立つと、小島が主にゲームコントロールを担い、ベンドラメが得点に特化する。ベンドラメはアルバルク東京で2度優勝を経験した東海大時代の同期について、「あいつが試合の流れや要所のポイントを抑えたコントロールをしてくれるから、僕は点を取ることに集中できるし、すごく良い起点になってくれています」と称えた。
SR渋谷は、現在17勝20敗で中地区4位。ワイルドカード順位は9位とさらに下がる。残り21試合のレギュラーシーズンで順位をチャンピオンシップ圏内まで上げるのは簡単なことではないが、ベンドラメは「チャンピオンシップを目指すのが今一番のモチベーションです」と力を込める。
「一敗でもすると崩れてしまうような場所にいるとは思いますが、チャンスがなくなったわけではありません。毎回の練習、試合で常にチャンピオンシップを意識することと、連勝が欠かせません。とにかく毎日、細かくしつこくチームにチャンピオンシップを意識させる声掛けをして、常にチャンピオンシップを頭に置いて日々を過ごさないと実現は難しいと思います」
次節の相手は、こちらもチャンピオンシップ出場に向けて星を落とせない群馬クレインサンダーズ。強豪との対戦もまだ多く残している。チームリーダーとして、ガードとして、得点源として。今後のSR渋谷の不沈は様々な意味でベンドラメの手腕にかかっていると言えそうだ。