ジョアキム・ノア

写真=Getty Images

「どれだけバスケットボールが大好きなのか気づかされた」

ジョアキム・ノアが、ついにNBAの舞台に戻ってきた。今週グリズリーズと正式に契約したノアは、12月5日のクリッパーズ戦でデビュー。ベンチから14分出場し、4得点3リバウンドを記録して96-86での勝利に貢献した。

第3クォーター残り5分35秒にグリズリーズデビューを果たしたノアは、持ち味のリバウンドでチームのポゼッションを守ると、第4クォーターには独特なフォームからジャンプシュートを成功させ、感情を爆発させた。

加入からチーム練習に一度しか参加していなかったにもかかわらず、指揮官JB・ビッカースタッフは早くも出場機会を与えた。クリッパーズ戦後、ノアは「今はとてもしあわせ」とコメント。メディアから質問されるごとに、言葉を選びながら、こう続けた。

「2日くらい前に到着したばかりで、チームのプレーを理解するまでは出場機会を与えてもらえないと思っていた。コーチが自分を信頼してくれてうれしい。今日のような試合で使ってくれてうれしい。今日のような瞬間が当たり前だなんて思っていない。これまでのことがあって、自分がどれだけバスケットボールが大好きなのか気づかされた」

ハイペース、3ポイントシュート全盛の現代型NBAとは真逆のスタイルを貫くグリズリーズは、西カンファレンス3位に躍進しているクリッパーズを今シーズン最少得点に抑えた。チームアイデンティティである『Grit and Grind』(闘志と気骨)を体現する側になったノアは「これがメンフィス・グリズリーズのやり方。泥臭い試合に勝つんだ」と、語った。

33歳のノアは、ブルズ時代の2014年には最優秀守備選手賞を受賞した他、2013年と14年にもNBAオールディフェンシブ・ファーストチームに選出された選手だ。近年は故障が続いているが、コンディションさえ良好なら、NBA屈指の守備力を誇るビッグマンとして知られている。また、クリッパーズ戦でも見られたように、喜怒哀楽を表に出すタイプで、チームにポジティブな力を与えられる存在だ。

ニックス時代の昨シーズンには、当時の指揮官ジェフ・ホーナセックと衝突し、干された。衰えが見られたことも影響したのかもしれないが、オフにニックスから解雇された後も他チームからオファーが届かず、無所属の状態で開幕を迎えた。それ故に、プレーできる現在に感謝しているのだろう。ノアは「メンフィスには、家族を連れてきていないんだ。僕がここにいる理由は、バスケットボールをプレーするのが大好きだから。お金のための移籍ではなかった。単にプレーしたいし、優れたグループの一員でいたい。今は、そういう瞬間をとても大事にしているんだ」と、言う。

ノアの加入がグリズリーズにどういう変化をもたらすか、これからが楽しみだ。