文=大島和人 写真=B.LEAGUE

北海道に傾きかけたゲームを正中岳城が立て直す

ここまで18勝のアルバルク東京と、6勝しかしていないレバンガ北海道の対戦となれば、一方的な展開を予想した人がいたかもしれない。

しかし北海道は12月に入って中地区首位の川崎ブレイブサンダース、西地区2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズと接戦を続けており、名古屋からは勝利も挙げている。今節の第1戦もA東京に73-82で敗れているが、第3クォーター終了時にはタイスコアという熱闘だった。加えて17日はA東京のトロイ・ギレンウォーターが出場停止で不在。そんな中で北海道は素晴らしいスタートを切った。

17日の第2戦における外国籍選手のオン・ザ・コート数はA東京が「2-1-1-2」で、北海道が「1-2-1-2」だった。しかし第1クォーターは「1」の北海道が「2」のA東京をスコアで上回っている。北海道は野口大介、西川貴之が7点ずつを決める活躍で第1クォーターは20-18とリードを奪った。

第2クォーターのスタート、A東京の伊藤拓摩ヘッドコーチはガードに正中岳城を起用した。ベテランの起用意図を指揮官はこう説明する。

「彼は常にエネルギーを持って、ハードにプレーができる。単純ですけれどディフェンスの激しさだったり、激しくディフェンスしてオフェンスまでスプリントしたり、そういうところでチームの流れはできる。そういう(流れを作る)細かいことに期待しました」

守備から流れをつかんだA東京は松井啓十郎の連続3ポイントシュートなどで試合をひっくり返し、リードを拡げる。第2クォーター残り5分0秒には、その正中も3ポイントシュートを決めてスコアが35-26。5分間で2点ビハインドから9点リードまで試合をひっくり返した。

この後のオフィシャルタイムアウトで正中はベンチに退いたが、いぶし銀ポイントガードの印象的な攻守だった。A東京はハーフタイムまで残り1秒に田中大貴がこの日3本目となる3ポイントシュートを沈めて、45-32とリードを守って試合を折り返す。

西川貴之が『ワンマンショー』で33得点をマーク

ただ、北海道も折れなかった。ハイペースでスコアを重ねていたのはセンターのダニエル・ミラーと、スモールフォワードの西川だ。

ガードの多嶋朝飛はこう振り返る。「A東京は(ギレンウォーターの出場停止で)インサイドが一人いない状況。ダニエルに『今日はアタックしてね』と伝えていた。その中でリバウンドを取ってくれたし、良いアタックもあったのでそこは助かった。ニシ(西川)も積極的にアタックして、チームの苦しい時間帯を救った」

ミラーはこの試合、一人で20得点を挙げただけでなく15リバウンドを奪う大活躍を見せた。そして西川は1試合で33得点、後半だけで24得点を挙げた。

「前半を13点ビハインドで折り返して、追いつくためには後半の出だしからやるしかなかった。思い切り攻めました。最初に3ポイントシュートが結構入っていたので、(守備が)チェックに来るだろうというのは予想していた。だからカウンターでドライブを仕掛けた」

196cmと体格にも恵まれた西川だが、自ら切れ込むドライブと、外角からのシュート力を持つオールラウンダー。12日から日本代表候補合宿にも参加していた24歳の注目株が、17日は「キャリアハイくらい取った」という得点の量産を見せた。

第3クォーターも点差が詰まらず、53-67というビハインドで第4クォーターに入った北海道だったが、10分間で35点を挙げる猛烈な追い上げを見せる。19点差で迎えた残り7分59秒、西川が3ポイントシュートを沈めると、残り3分を切ってからは彼のワンマンショーが始まる。

西川は残り2分53秒に再び3ポイントシュートとバスケット・カウントのフリースローを決め、この時点でスコアは75-79と4点差。A東京も再び突き放したが、西川は残り44秒にもバスケット・カウントの3点プレーを成功させ、そして残り22秒、このクォーター3本目となる3ポイントシュートを決める。

この時点でスコアは84-87と3点差。それでもA東京はその後のファウルゲームを冷静に乗り切り、90-88で北海道の追撃を退けた。

A東京を勝利に導いたのは高確率の3ポイントシュート

A東京の伊藤ヘッドコーチはディフェンス面は反省しつつも、オフェンスの改善を口にする。「昨日の反省がしっかりできて、正しいバスケットができた。トロイ(ギレンウォーター)がいない中でもボールをしっかり動かしながら、全員が起点になって、やりたいバスケットをできた」

この試合は田中が3ポイントシュートを5本投じて5本成功している。チーム全体でも24本中14本という高確率で決めており、この試合の勝因になった。伊藤ヘッドコーチはこう言う。「チームでバスケットができていたから(田中)大貴もオープンになった」

水野ヘッドコーチは「第2クォーターに相手に流れを渡してしまったことが、今日一番の勝てなかった理由」と悔いる。

北海道は昨日の試合で21個も喫したターンオーバーを9個に抑えた。ただし守備では田中に27点を決められている。水野ヘッドコーチはこう説明する。「A東京は全員を抑えようと思っても、なかなか抑えられるチームではない。ギャレットに昨日気持ち良くやられて、ザック選手のところでズレを作られた部分は、一つ大きな修正ができた」

ギレンウォーターの不在については「いないからチャンスだというよりは、逆に他の武器がより際立つというところもある」と分析。ボールをシェアし、淀みなく動かしつつ、どの選手もリングにアタックする個の力量がある。そんなA東京のすべてを封じることはできなかった。

ただ北の若き指揮官は「A東京に対してここまでの試合が2日間ちゃんとできた。勝ち負けを別にすると、チームは成長できていると思う。そこを自信に変えることだけでなく、ここから勝つ本物の強さを自分たちは身に着けていかなければいけない」とも口にする。

北海道は空いていた外国籍枠もジャマール・ソープとの契約で埋まり、12月に入ると西川貴之がケガから戻ってきた。一時は実質7名で戦っていたチームも、5on5の練習ができる状態になっている。そんな中でA東京としっかり渡り合った2試合を見ても、北海道の上げ潮は感じ取れた。