「最終的に自分が望む場所に辿り着くことができた」
32歳のジェイ・クラウダーは、闘志溢れるタフなディフェンスでチームにエナジーを与え、要所での3ポイントシュートも光る、NBA有数の『3&D』プレーヤーとして確固たる評価を得ている選手。しかし今オフ、首脳陣との軋轢から2020-21シーズンから在籍していたサンズにトレードを要求すると、そのままチームへの合流を拒否し、開幕から欠場を続けた。一時は、当時ウィザーズに所属していた八村塁のサンズ移籍も含む三角トレードでバックスへの移籍話も浮上したが、最終的には実現せず。2月中旬のトレード期限ギリギリのタイミングでケビン・デュラントのサンズ移籍による大型トレードでネッツに移籍し、移籍直後のペイサーズを絡めた三角トレードでバックスに加入した。
現地2月24日のヒート戦でバックスの一員として今シーズン初めてコートに立ったクラウダーは、長らく実戦から離れていた余波でコンディションは完全ではないものの、ローテーション入りしチームの快進撃に貢献している。
『Yahoo Sports』の取材に対してクラウダーは、「最終的に自分が望む場所に辿り着くことができた」と今回のバックス移籍について語る。ネッツから移籍した理由については、自身とともに移籍したミケル・ブリッジズ、キャメロン・ジョンソンを含め、同じポジションに多くの選手がいたこと、デュラント、カイリー・アービングの2大エースを揃って放出し、再建モードになったネッツにベテランである自身の居場所がなかったことを挙げた。「(ネッツでは)ノーチャンスだった。俺のようなタイプの選手がどれだけいるのか、見てごらんよ。ネッツにいてもプレータイムを獲得できなかったね」。クラウダーはこのように語っている。
移籍志願をし、チーム離脱の決断をしたのはクラウダー本人だったとはいえ、開幕から故障もないのにコートに立てないことは、精神的に辛かったに違いない。だが、クラウダーは、自身の要求に関して妥協することはなかった。
「一人の選手として、そしてメンタル面に関して自分自身を知る機会だったと思う。計画を実行するための過程で俺は決して揺るがない。たとえ1カ月、2カ月と経っても自分が成し遂げたいことを変えることはなかった。一連の出来事を通して精神面で冷静でいられた自分を褒めたい」
クラウダーにとって、バックスはサンズ時代の2021年ファイナルで激しい戦いを繰り広げた相手。かつての好敵手から求められたことにうれしさを隠さなかった。「(2021年のファイナルは)2つの偉大なチームの戦いで、すべてにおいて尊敬があった。バックスは僕に来て欲しいと思ってくれた。チャンピオンチームが自分を必要としてくれているのは自信になるよ」
プレーオフ経験が豊富なクラウダーだが2020年はヒート、21年はサンズでファイナルに敗れるなど、まだNBAチャンピオンの経験はない。バックスでエースストッパーの役割をしっかりと遂行できれば、今度こそ悲願の優勝を達成できる可能性が大きく高まる。