河村勇輝

「もうない」と思っていたWユウキ「リズムを取り戻せたしすごく楽しかった」

2月26日に高崎アリーナで行われたFIBAワールドカップアジア予選Window6のバーレーン戦後、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)が取材に応じた。

日本代表は試合開始直後から主導権を握り、終始リードを譲らず95-72で快勝したが、序盤は不必要なファウルが目立ち、試合を通してディフェンスの連携ミスが散見された。河村も「(2月23日の)イラン戦と比べると、自分たちの流れに持っていける時間帯が少なかった。20点差という結果で終われたことは良かったけれど、チームとしてはまだまだ満足できないです」と試合を総括した。

ベンチからコートに送り出された河村は、17分33秒の出場で13得点9アシストというスタッツを記録。数字だけを見れば、ポイントガードとして文句のないパフォーマンスだが、河村はそれについて特に言及せず、逆にいくつかの反省を口にした。

1つ目はゲームメイクについて。

「前半チームを乗せきれなかったのは、ポイントガードである自分の責任かなと。トムさん(ホーバスヘッドコーチ)のバスケットは、強度の高いディフェンスからガードがプッシュしてイージーなスコアを狙うことだと思っているんですけど、前半はその場面があまり作れず、日本の展開、リズムが作れませんでした。後半はそれができていたので、前半からやらないといけないなと思います」

もう1つは統率力に関するものだった。河村はファウルがかさんだ前半について触れ、「ポイントガードとしてもっと声をかけて、ファウルをしないようチームをコントロールしなければいけなかった」と話した。

第4クォーターには富樫勇樹(千葉ジェッツ)との同時起用が実現し、ファンたちを大いに沸かせた。このことについてコメントを求められた河村は「うれしいです」と第一声を発し、言葉を続けた。

「FIBAアジアカップ(2022年7月12〜24日開催)のオーストラリア戦で同じコートに立ったんですけど、こういう起用はもうないだろうなって思っていたので。バーレーンの2ガードはあまりサイズがなかったし、日本も第4クォーターにオフェンスのリズムがあまり作れていなかったので、ハンドラーの自分と勇樹さんが同時起用されたんだと思います。ゲームメーカーが2人コートに立ったことでリズムを取り戻せたと思いましたし、自分もすごく楽しかった。良かったです」

河村勇輝

「『もう代表に定着できた』というような甘いことはまったく考えていません」

約1年3カ月間に渡るアジア予選を、グループF3位の成績で締めくくった日本代表。昨年7月のチャイニーズ・タイペイ戦よりロスターに加わった河村は、この予選を通して最も成長した選手と言っていいだろう。

デビュー戦のチャイニーズ・タイペイ戦は14分3秒のプレータイムでシュートアテンプトはゼロ。河村はホーバスヘッドコーチに「得点を狙え」と口酸っぱく言われ、それをBリーグの試合で遂行し続け、今やBリーグでも日本代表でも当たり前に2桁得点が奪える選手になった。

予選を振り返って、河村は言う。「1年前から『ワールドカップまで時間がない』と考え、ワールドカップで通用する選手になる。何よりもまずはメンバーに入ることを目指した半年間でした。その間、あせりも感じることもありましたが、プレーしながら成長していこうという気持ちを忘れず、一試合一試合をアピールの場ととらえてプレーしました。勝利に貢献することを第一としつつ、自分の強みを磨く、チームに必要とされるメンバーになることを考えながらプレーし続けました」

8月末のワールドカップ本戦まであと半年を切った。次に強化合宿が組まれるのは、おそらくBリーグのシーズンが終了する5月以降になる。

「『もう代表に定着できた』というような甘いことはまったく考えていません。本戦に向けてまだまだ高みを目指さなければいけませんし、良い時こそ悪いところにフォーカスすることが大事になってくると思います。Bリーグのシーズン後半戦でしっかりと成長して、チームとして良い結果が残せるように引っ張っていきたいです」