ファウルトラブルに陥り、チーム最少となる8分強のプレータイムに留まる
バスケットボール男子日本代表はワールドカップアジア地区予選Window6のイラン戦に96-61で勝利を収めた。
新戦力が力を発揮し、さらに56点ものベンチポイントを稼いだことがこの快勝に繋がったが、裏を返せば先発メンバーの得点があまり伸びなかったとも言える。そして、不完全燃焼に終わった先発メンバーの一人が比江島慎だ。比江島は試合開始からわずか2分半で個人2つ目のファウルを犯し、その後ベンチを温める時間が続いた。後半のスターティングラインナップに名を連ね3ポイントシュートを1本沈めたが、チームで唯一人プレータイムは10分未満となり、3得点で試合を終えた。
比江島は苦笑いを浮かべながら、自身のプレーをこのように振り返った。「相手の中心選手につくということで、激しくディフェンスから入る意識を持ってやっていましたが、ファウルを取られてリズムに乗れなかったです。それ以外ももちろん良いとは言えないですけど、次に繋げたいです」
比江島はこれまで日本の中心選手として、特にオフェンス面を引っ張ってきたが、この試合のフィールドゴール試投数はわずか2本に留まった。だからこそ比江島は「もっとボールをもらう意識を持って、自分の得意なドライブを出していきたいです。(ジョシュ)ホーキンソン中心のバスケになるかもしれないですけど、ズレを作らないといけない場面もあると思うので、積極的にアタックしていきたいと思います」と言い、消化不良に終わったオフェンスの改善を誓った。
イラン戦は代表デビューとなった金近廉がゲームハイの20得点を挙げ、河村勇輝が再びゲームチェンジャーとして存在感を見せた。若手選手が結果を残し『世代交代』の流れを感じさせたが、比江島も「もっとアピールしないと、ワールドカップ(のメンバー入り)は危ないと思っているので、危機感を持ちながらやりたいです」と、自身のポジションが決して安泰ではないととらえている。
自分を脅かす存在がいることで肩に力が入ってしまう選手もいるだろう。だが、百戦錬磨の比江島は初のエントリーメンバー入りを果たした川真田紘也と笑顔で談笑するなど、リラックスした様子で最後の予選を迎える。「僕もそうですが、彼(川真田)は少年のような心を持っているので気が合います。人見知りですが、自分から話しかけるように意識していて、最年長の僕に気を遣わせないように自分からコミュニケーションは取るようにしています」