指揮官タロン・ルー「彼らしいプレーをしてくれればいい」
ラッセル・ウェストブルックはバイアウトを経てクリッパーズの一員となった。オールスターブレイク明けの試合となる現地2月24日のキングス戦が、早ければ新天地でのデビューとなる。
クリッパーズはここまで33勝28敗で西カンファレンスの4位。シーズン序盤はカワイ・レナードのコンディションが上がらずスロースタートとなり、年末から年始にかけて6連敗を記録したものの、その後は12勝7敗と持ち直して順位を上げている。ただ、カワイが全休した昨シーズンには結果を出せず、今シーズンが勝負の年。今のままでは上位チームを上回ることができないと考え、トレードデッドラインにエリック・ゴードン、メイソン・プラムリー、ボーンズ・ハイランドを獲得するロスターのテコ入れを行った。その締めくくりがウェストブルックの招聘だ。
現地22日にウェストブルックは入団会見を行い、「チームにとって何がベストなのか、勝つために何ができるのかを考えた。いろんな議論があると思うけど、大事なのは勝つことで、最終的な目標は優勝することだ。挑戦する準備はできている」と終始にこやかな表情で語った。
今回の契約を後押ししたのは、サンダーで2シーズン一緒にプレーしたポール・ジョージだと言われている。ウェストブルックは彼について「バスケ以外の部分でも素晴らしい人間で、家族ぐるみの付き合いをしている。互いに競い合っていた彼と一緒にまたプレーできるのが楽しみだ。彼のプレーを助けたい」と言う。
ローレンス・フランク球団社長は、ジョージだけでなくカワイやヘッドコーチのタロン・ルーからも意見を聞いた上で、ウェストブルックが必要だと確信したと話す。クリッパーズが自分を必要としてくれたことにウェストブルックは「普通の職場であっても、こういうことは大事だ。多くの人々が僕を必要としてくれる。僕にとって信頼はとても重要なことで、大きな意味がある」と感激している。
クリッパーズでの彼が先発なのかベンチスタートなのか、何分のプレータイムを与えられどんな役割を与えられるのかは、蓋を開けてみなければ分からない。それでも指揮官のタロン・ルーは「ラス(ウェストブルック)にはラスであってほしい。彼らしいプレーをしてくれればいいんだ」と期待を寄せる。「やりすぎたり、足りなかったりした場合には私が彼にそう伝える。彼はやる気に満ちているし、勝利を求めている。レイカーズで彼が置かれていた状況は理解しているが、それとは違う形でチームに貢献してもらいたい」
ウェストブルック自身も「クリッパーズは良いプレーをしていると思う。僕はそこに加わって、ハイペースを保ち、自分のスピードと身体能力を生かしてペイントエリアを攻め、チームメートにイージーショットを打たせたい」と語る。
レイカーズでの彼は、加入時点から懐疑的な目を向けられ、チームが負ければ常に批判の槍玉にあげられた。強烈すぎる個性がその状況を招いているのかもしれないが、だからこそ彼を応援し続けるファンもいる。ウェストブルックは自分に期待を寄せる人たちに向けて「僕はキャリアの様々な場面で浮き沈みを経験してきたけど、世界中に僕を支えてくれる人がいることが励みになっている。だからこそ僕はベストを尽くして、彼らに対して忠実でありたい。そしてキャリアの中で出会う人たちに良い影響を与えられる人でありたい」との気持ちを語る。
指揮官ルーは会見でウェストブルックについて「MVPであり、将来の殿堂入り選手」という表現を繰り返し使った。レイカーズでの不振を考えると期待値が高すぎるような気もするが、今のウェストブルックに必要なのは信頼されることであり、高いレベルのプレーを期待されることだ。ルーはレイカーズ時代の印象でクリッパーズでのウェストブルックを語るのは「フェアではない」と釘を刺し、「ラスをチームに組み込むという挑戦に、私自身もワクワクしているよ」とコメントしている。
これだけ評価されてウェストブルックが燃えないはずはない。戦力外にも等しいトレード、そしてバイアウトから鮮やかな復活なるか。ウェストブルックとクリッパーズの大勝負の行方から目が離せない。