ラッセル・ウェストブルック

カワイ・レナードとポール・ジョージ中心のバスケにどう噛み合うか

3チーム間トレードでレイカーズからラッセル・ウェストブルックを獲得したジャズは、彼の契約をバイアウトすると発表した。ウェーバー期間を経て、プレーオフに出場するための登録期限である3月1日までに新たなチームを決めることになるが、『ESPN』や『CBS Sports』はそれがクリッパーズだと報じている。

先週の時点でジャズはウェストブルックに「歓迎するが、若手の起用を優先する」と伝えるとともに、バイアウトに向けて他のクラブと交渉することを許可しており、その一つがクリッパーズだった。ポール・ジョージはオールスター期間中の会見でウェストブルックについて「ウチで噛み合うと思う」と言い、「自分以外で最もNBAのタイトルを勝ち取ってほしいと思うのがラスだ」と、サンダー時代のチームメートへの敬意を示している。

ウェストブルックは選べる立場にあり、『自分を最も必要とするチーム』としてクリッパーズを選んだのだろう。ただ、話し合いがどう進んだのかは分からない。クリッパーズはトレードデッドラインにレジー・ジャクソンとジョン・ウォールを放出。ガードはテレンス・マン、新加入のエリック・ゴードンとボーンズ・ハイランドとなった。最初の疑問は先発ポイントガードにウェストブルックを据えるのかどうか。クリッパーズで4年目を迎えていたジャクソンの放出は、マンを今後の主力に据える意図での決断だったはず。チーム生え抜きで26歳と伸び盛りのマンを優先し、ウェストブルックはセカンドユニットという可能性は十分にある。

先発にせよベンチからの出場にせよ、カワイ・レナードとポール・ジョージを中心とするバスケでウェストブルックがどんな役割を担うのかは難しい問題だ。サンダー時代のようにウェストブルックがオフェンスの全権を担うことはあり得ない。カワイとジョージが最高のパフォーマンスを発揮できる状況をサポートするのが、ウェストブルックだけでなくクリッパーズの全選手の役割となる。

ウェストブルックにとって厄介なのは、彼のプレースタイルが良くも悪くも特徴的であることだ。激しいディフェンスに縦への推進力、力強いボールプッシュでトランジションを作り出し、リムアタックから得点もアシストもできる。しかし、オフボールでの仕事の質は低く、ジャンプシュートの確率が低いという明確な弱点もある。

大事なのはカワイとジョージのプレーの快適さを損なうことなく、ウェストブルックに『ジャンプシュートではなくリムアタック』というプレーをさせられるかどうか。すでに完成されたバスケスタイルにウェストブルックを組み込むのは簡単ではない。とりわけクリッパーズのビッグマンはイビツァ・ズバッツとメイソン・プラムリーで、どちらもジャンプシュートのない選手であることが、ウェストブルックの順応には障害となる。

それでもチームリーダーのジョージの支持を得られること、優勝を目指して戦えることは、ウェストブルックにとっては大きな魅力なのだろう。すでに彼自身が、自分が『王様』としてチームに君臨することは考えていない。自分に新たな変化をもたらし、クリッパーズの一員としてNBA優勝を成し遂げられるかどうか。その成否は来シーズン以降の契約にもかかわってくる。ウェストブルックにとってキャリア最大の挑戦となりそうだ。