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疲労困憊のヒールドに対し、コービーは颯爽と去る

今のNBAで「若手」と呼ばれる選手の大半が、幼い頃にコービー・ブライアントを見て育ったはず。ペリカンズのルーキー、バディ・ヒールドも多分に漏れず、コービーを憧れの対象として尊敬していた。

ヒールドは『The Players Tribune』に寄稿した文章の中で、ドラフト指名後にコービーと練習する機会に恵まれたことを明かしている。

ドラフト当日、コービーから指名を祝うメールが届いた。それから約1カ月後、自主トレのためロサンゼルスに滞在していたヒールドのに、コービーとの共通の友人から連絡があり、その翌日の朝6時から一緒に練習しないかと誘われたという。

翌朝、練習場でコービーと対面したヒールドは、練習開始からの雰囲気について、こう綴っている。

「練習場に入ると彼は真剣そのものだった。練習中は冗談も一切言わず、バスケットボール以外については話もしなかった。バスケットボール一色の時間だった」

それからの練習はヒールドが今までに体験したことがないものばかりだった。あるスポットから10本シュートを放ち、違うスポットに移動してまた10本。これを延々と繰り返すメニューをこなすと、コービーはヒールドに自分の動きを真似するよう指示。その動きとは、単にエルボー(フリースローラインの両端)にドリブルしてからのジャンプシュートではなく、実際に試合ではやることがないような動きの連続からのシュート練習だったという。

「一つはハイポストからの動きで、コービーはフリースローラインでポンプフェイクをして、それからリバース・ピボットしてレーンに入ってフローターを沈めていた。その動きを、彼が見ている前で多分100回はやらされた。そのときに気が付いて『MSG、これ知ってるよ!』と叫んでしまった」

ブライアントが見本を見せた動きは、以前マディソン・スクエア・ガーデンで実際に見せたプレーだった。

あっという間に2時間が経過し、コービーは朝食ミーティングをすると言って練習場を後にしたそうだ。2人とも汗だくになっていたが、ヒールドは「腕が言うことをきかなくなっていた」と綴っている。

疲労困憊のヒールドに対し、ブライアントは帰り際に笑顔を見せ、こう言ったという。

「若い頃の俺なら、午後にも同じ練習をしていたよ」

お金では買えない有意義な時間を過ごしたヒールドが、この経験をどう自分の成長に繋げていくのか、今後がますます楽しみな存在だ。

レジェンドとの練習の効果は不明だが、ヒールドはルーキーながら全試合出場を果たしている。