輝かしい未来を持つエイトンと光の見えないサンズ、勝てない状況をどう打開するか

2018/12/03
NBA&海外
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ディアンドレ・エイトン

写真=Getty Images

ドラフト1位はダテじゃない、すでに不可欠な戦力に

昨シーズン、リーグトップの勝率を誇ったロケッツが14位と混迷を極める西カンファレンスの中で、唯一プレーオフ争いに参加できていないのがサンズです。それでも注目のドラフト1位ルーキー、デアンドレ・エイトンは、ここまで平均32分の出場ながら1試合平均16得点、10リバウンドを上回る安定した個人スタッツを残し、大いなる才能の持ち主であることを示しています。

開幕戦で18点10リバウンドとダブル・ダブルのデビューを飾ったエイトンは、ビッグマンらしくインサイドで強さを発揮し、リバウンドではリーグ全体の16位につけています。パワーフォワードを起用しないチーム事情もあり、コートにいる時のエイトンはチーム全体の4割近くのリバウンドを稼いでおり、すでに欠かせない存在になっています。

その一方でサンズのリバウンド数はリーグで2番目に少なく、その要因となっているのはボックスアウトができていないこと。エイトンは5.9回でチームの中では最も多いものの、この数字はリーグ全体の中では50位程度と、チーム全体のボックスアウトの意識が低くなっています。エイトンはゴール下の密集の中でも自分の近くに落ちてきたリバウンドを奪う力は非常に高いのですが、チームとしてもエイトン本人としてもボックスアウトできていないため、イージーに取る形に持っていけません。

リバウンド面でのエイトンの課題は、リバウンドになる一瞬前に身体をぶつけて自分が取るべきゾーンを広く取ること。少ないボックスアウト数ながら10本を超えていることは能力の高さを示していますが、さらに伸ばせる要素を秘めています。

オフェンス面では平均16点という得点以上にフィールドゴール62%という高い成功率が光ります。ゴール下で堅実にシュートを決めるだけでなく、ハイポストから50%以上の確率で決めるジャンプシュートが武器になっています。もともと大学時代は3ポイントシュートも得意にしていた広いシュートレンジを持っていますが、そのスキルは一旦封印し、味方の動きに合わせて空いているインサイドのスペースに飛び込むのがエイトンの役割。確実なシュートセレクションに徹し、安定したシュート能力を見せています。

サンズの100ポゼッションあたりの得点は、エイトンがコートにいる時間は106点ですが、いないと94点まで下がってしまい、エースであるデビン・ブッカーと並んでオフェンス面でもチームを構成する重要な選手になっています。インサイドでしっかりとポジションを取って堅実に決めてくれるエイトンの存在感は大きく、またディフェンスがゴール下に収縮していると的確にパスアウトしてアウトサイドから打たせるのも上手く、5試合で5アシスト以上を記録するなどルーキーらしからぬ冷静さも持ち合わせています。

ただしサンズは、エイトンには個人で仕掛けさせるのではなく、味方との連携からシュートを打つ形を徹底させており、1on1からの華麗なステップワークや相手を吹き飛ばすパワープレーは少なく、あくまでもシンプルなシュートを決めています。得点の75%にアシストが記録されており、目を引くようなスーパープレーよりも堅実なプレーを積み重ねるのがエイトンの良さです。

しかし、このサンズの選択がエイトンを苦しめ始めています。開幕からの15試合で平均35本のパスを受けていたエイトンは、そこから13点を生み出していましたが、直近5試合では29本のパスに留まり、得点も10点と下がっています。これらはエイトンへのマークが厳しくなった以上にチーム全体がパスを回さなくなってきたことが原因で、成績の振るわないサンズのチーム状況がもたらす悪い流れです。

今シーズンのサンズはチーム編成も固まった開幕直前にライアン・マクドノーGMを突如として解雇。その後はエイトンのメンター的な存在だったはずのタイソン・チャンドラーをバイアウトで退団させています。さらに最近になって19試合中15試合でスターターだったポイントガードのアイザイア・キャナーンもウェイブ。

編成が固まってからのGMの解雇、シーズン開幕直後のバイアウト、スターターのウェイブと、1つでも珍しい人事案件が3つも発生している異常事態に影響されたか、チームのプレー全体も変化してきて、ボールムーブが減り個人で仕掛けるプレーばかりが目立つようになりました。

ルーキーらしからぬ堅実なプレーでチームを支えるエイトンはドラフト1位に違わぬ実力を発揮しています。その一方でなかなか勝てず迷いが感じられるサンズのチーム状況は苦しさを増してきています。サンズ史上初のドラフト1位指名となったエイトンへの期待は大きく、ブッカーと並ぶチームの大黒柱に育てる意図は間違いありませんが、パスが来ない状況ではエイトンの良さは発揮されません。チームオフェンスの中でエイトンを生かす、チームの実力が問われます。