各カテゴリーで求められるプレーをシチュエーションごとに解説
1月14日、第8回JBAコーチカンファレンスがオンラインで実施された。技術委員会の東野智弥技術委員長、男子日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチ、女子日本代表の鈴木良和アシスタントコーチの3名が登壇し、定員の900名に近い参加者へ講義と質疑応答を実施した。
鈴木良和アシスタントコーチは『代表活動を通して感じる育成年代からのコーチングの重要性』と題して、代表コーチが求める育成年代の選手が身に着けてほしいプレーやそのプレーがどのようにして将来に繋がるのかを語った。
ゲームモデルをどう作るかと言った議題では、『トランジション』、『クリエイト』、『チャンス』、『ブレイク』、『フィニッシュ』の5つのシチュエーションから、何を判断しているか、何を身に着けようとしているかを項目ごとに説明し、各局面で求められる技術をU12からU18までの4カテゴリー別に紹介した。
特に『フィニッシュ』の局面について鈴木アシスタントコーチは、「カオスをシンプルに処理するためには自身を複雑にしておく必要がある」と言い、次のように解説した。「シンプルなシチュエーションを意識した練習だけだと、いざ試合になった時に対応できなくなってしまいます。どんな状況でディフェンスが来ても対応するために、様々な身のこなしやシュートの打ち方、決め方を若い世代から積み上げていくことが必要です」
他にも『フィニッシュ』の局面では期待値の高いシュートに繋がる『ノーマーク』、『クローズアウト』、『ミスマッチ』が起きた場面の動き方などを世界の強豪国や日本代表の映像を流しながら解説した。
「代表チームはシンプルにできたチャンスをモノにできるかが勝利のカギです。そのため、みなさんが育成年代に積み上げたファンダメンタルは非常に大切になります。『チャンス』、『ブレイク』、『クリエイト』はどんな状況でも発生しますので、『パス』や『フィニッシュ』などファンダメンタルの重要性は高いです」
そして、育成世代のコーチングで必要なことを『ピラミッドを作る組織』と『マンモスを狩る組織』に例えて次のように話した。「バスケットボール選手として質の高い選手は、規律の中でチームに貢献できること(指示の下ピラミッドを作ることができる力)と、コート上で判断できること(何を考えているか分からないマンモスに対応できる力)の2つを持つ選手です。2つの組織の側面が必要となっており、特にコート上で判断できる選手が育成年代で強化されると大きいと考えています」
質疑応答の時間では、各カテゴリーのコーチたちがどのような練習に取り組めば良いかなどの質問に鈴木アシスタントコーチが具体的な例や考え方などを教授し、「局面を分けて理解することが重要であることを知りました」や「チャンスの芽を養うことは、より主体的な選手に育成できると感じました」などの感想がチャットで挙がった。
最後に鈴木アシスタントコーチは集まったコーチへ次のような言葉を伝えた。「みなさんは子供たちに『楽しめる環境』を作ると同時に『良い選手』を生み出さないといけない難しいことをされています。そして、勝つことがすべてじゃない環境にする必要がありますし、どう選手を育成するか、どう選手に影響を与えるかが求められます。大変ですが、ここから日本の未来は変わってくると思っています。これからも一緒に頑張って学び続けましょう!」