トーマス・ブライアント

写真=Getty Images

ディフェンス・ファーストで選手たちの意識が一つに

開幕3試合目に今シーズン初勝利を挙げながら、それから連敗続きとなったウィザーズが、ようやく盛り返し始めた。11月27日にホームでロケッツと対戦したウィザーズは、ジェームズ・ハーデンにシーズンベストとなる54得点を許しながらも延長戦に持ち込み、135-131で勝利した。

勝てない日々が続き、2大エースであるジョン・ウォールとブラッドリー・ビールでさえもトレード要員になると噂されたものの、ウィザーズは直近9試合で6勝目、今シーズンの戦績を8勝12敗にまで挽回している。

転機となったのは、1週間前のクリッパーズ戦だった。指揮官スコット・ブルックスは、負傷欠場したドワイト・ハワードに代えて、それまで一度もNBAで先発出場したことがなかった2年目のトーマス・ブライアントをビッグマンとして使い、マーキーフ・モリスをベンチに下げてケリー・ウーブレイJr.を先発に起用するラインナップ変更を行った。これが功を奏してクリッパーズ、ペリカンズ、ロケッツと西カンファレンスの強豪から続けて勝利を奪っている。

ロケッツ戦でシーズンハイの36得点を記録したウォールは、勝因にディフェンスへの意識を挙げた。130点以上も相手に奪われておきながら、守備が勝因というのは的外れな気がしないでもないが、ウォールは大真面目だ。

「個人の素晴らしいディフェンスがあったから勝てた。全員で声を出して、互いにサポートし合った。ブラッド(ビール)はハーデンを抑えたし、ジェフ(グリーン)もヘルプポジションを上手く取っていた。マーキーフもトラップを仕掛けて、オットー(ポーターJr.)も終盤に(ハーデンから)大きなスティールを決めてくれた」

またウォールは、ラインナップ変更の影響についてもこう話す。「ラインナップを変えてから、全員がそれぞれの役割を受け入れるようになった。誰がボールを受けるとか、そういうことを誰も気にせず守備に集中できている。第1クォーターに相手にイージーなシュートを決められた後のタイムアウトでも、オフェンスについて話す選手はいなかった。今はディフェンスに集中して、互いに助け合うことに意識を向けている。勝ててうれしいよ」

今シーズンのウィザーズは戦力面では東の4強を狙えるチームなのだが、開幕から結果がついてこないことでロッカールーム内の雰囲気は悪化の一途をたどり、修繕不可能とまで言われた。それでもようやく、チームが機能する形を見いだせた。そして『ディフェンス・ファースト』という意識がチーム内に浸透し始めている。

この時期の出遅れなら、まだいくらでも取り返せる。気づけば勝率5割復帰を果たし、東の上位に顔を連ねていても不思議ではないだろう。ウィザーズが、ついに反撃の狼煙を上げた。