崎濱秀寿

最後までもつれる激闘となるも、勝負どころで攻守にビッグプレー

Jr.ウインターカップ男子の決勝は互いに堅いディフェンスを披露するロースコアの守り合いとなる中、ライジングゼファーフクオカU15が51-46で横浜ビー・コルセアーズU15との激闘を制した。

試合の出だし、フクオカU15は横浜U15の攻守の素早い切り替えにディフェンスが後手に回ると、インサイドで確率良くシュートを決められてしまう。逆に自分たちはアタックを仕掛けるも決めきれず9-15と出遅れた。だが、第2クォーターに入るとフクオカU 15は勝又絆がこのクォーターだけで10得点を挙げるなどドライブの決定力が増し、守っては激しいプレッシャーで横浜U15のボールムーブを停滞させてタフショットを打たせ、互角の展開で前半を終えた。

後半に入っても共に堅いディフェンスで譲らない一進一退の攻防が続いたが、フクオカU15は第4クォーター残り1分40秒、同点に追いついた直後のディフェンスで崎濱秀寿が敵陣で値千金のスティールを奪うとそのまま持ち込んでレイアップを決めて勝ち越す。さらに残り17秒には、ここまで16本放ってすべて外れていた3ポイントシュートをこの土壇場で勝又が沈めた。こうして、攻守に渡ってここ一番でビッグプレーが飛び出したフクオカU15がU15世代の頂点に立った。

今大会、フクオカU15は1回戦で4点差、3回戦で2点差、ベスト8で2点差、ベスト4で4点差と、決勝戦も含めた全6試合の内、5試合が2ポゼッション差の決着だった。この抜群の勝負強さを支えたのは、最多失点が57という堅守をキープしたことだ。

フクオカU15加入前は、西福岡中で2度の全国中学バスケットボール大会優勝など数々のタイトルを獲得したU15世代の名将、鶴我隆博ヘッドコーチは守備への強いこだわりを語る。「ウチのチームはシュートが入らなくてもしっかり守ることができれば試合に出られます。逆にいくらシュートが入っても守れないと試合に出られません。それくらいディフェンスはチームの根幹としてやっています。ディフェンスは頑張ればできますし、裏切らないです」

崎濱秀寿

兄は福岡第一で活躍する秀斗。「比較されている方が成長に繋がるのでありがたい」

フクオカU15らしい守備で、勝負どころで試合の流れを変える値千金のスティールを奪った崎濱は、次のように振り返る。「スティールは常に狙っています。自分が得意とするディフェンスを接戦の中で生かそうと強い気持ちで行ったことでああいう結果になったと思います」

抜群のスピードを生かした鋭いドライブからのジャンプシュートなど非凡な個人技が光る崎濱だが「初戦から調子が悪くてなかなかうまくいかなかったです」と語るように、オフェンス面ではシュートタッチに苦しみ本領発揮とはならなかった。だがチームの根幹であるディフェンスで集中力を切らさずにハードワークを続けたことで、決勝の大舞台で大きな仕事を成し遂げた。

ただ、それでも本人はまだまだ改善すべき点があると自分に厳しい。「ディフェンスはうまくできたと思いますが、カットに行けるところで行かなかったりと課題もありました。ただ、それが見つかったからこそ成長に繋がると思いますし、良い大会になりました」

崎濱の兄は、福岡第一高校の2年生ガードである秀斗だ。昔から2つ上の兄とは比較され続けているが、春には自身が高校に入学することで崎濱兄弟はより注目を集めることになりそうだ。普通なら兄との比較をプレッシャーに感じてもおかしくないが、崎濱は「比較されている方が成長に繋がるのでありがたいと思います」とポジティブにとらえている。

そして「今の段階では兄のようなプレーヤーになって高校で活躍したいと思っています」と語る一方で、負けん気の強さも見せる。「兄は結構、意識をしています。(歳は2つ離れているが)同じ高校生になったら負けたくないです」

かつて西福岡中で兄の秀斗も指導していた鶴我コーチは、次のように秀寿の魅力を語る。「運動能力はお兄ちゃんの方が上だと思いますが、彼は自分のやれることをよく理解しています。しぶとさだったり、ハートの良さもあるのでお兄ちゃんとは違った意味で面白いガードになっていくと思います」

今年のウインターカップを沸かせた兄とはまた違った個性を持つ秀寿が高校生になってどんな活躍を見せてくれるのか。より楽しみとなる今大会でのプレーだった。