ルカ・ドンチッチ

ドンチッチと能力のある『脇役』だけでは優勝できない?

マーベリックスは開幕から2カ月半が経過して22勝16敗、西カンファレンスの4位とまずまずの順位にいる。チームを引っ張るのはルカ・ドンチッチで、彼は出場した35試合のうち30試合でチームトップの得点を挙げ、25試合でアシスト、21試合でリバウンドまでチーム最多のスタッツを記録し、マブスに不可欠な存在となっている。

ドンチッチはNBAキャリア5年目を迎えて、押しも押されもせぬリーグのトップエリートとなった。だが、チームは半歩後退の印象だ。ジェイレン・ブランソンがフリーエージェントとなりニックスへ移籍した後、その穴を埋められないまま開幕を迎え、ファクンド・カンパッソ、ケンバ・ウォーカーと手に入る戦力でのやりくりを強いられている。

2021年の夏にドンチッチは5年2億700万ドル(約225億円)の契約更新にサインしている。この時はオーナーであるマーク・キューバンを始めクラブ首脳陣がスロベニアを訪れ、若きスター選手へ最大限のリスペクトを示した。それから1年半、マブスはドンチッチと良好な関係を保っているが、チームはドンチッチがいなければリーグ下位に落ち込んでもおかしくない。

今のNBAでは、スター選手がタイトルを求めて移籍するのが当たり前となっている。ドンチッチという才能が規格外であればあるほど、キューバンには『常に優勝を狙えるチームでなければならない』という危機感があるはずだ。

マブスとキューバンには、NBAではマブス一筋で20シーズンに渡りプレーしたダーク・ノビツキーという成功体験がある。キューバンはノビツキーをチームの軸に据え、ジェイソン・キッドやスティーブ・ナッシュ、マイケル・フィンリー、ペジャ・ストヤコビッチ、タイソン・チャンドラー、ヴィンス・カーターなど次々にオールスター級の選手を連れてきてチームの強化を図ってきた。

昨シーズンにはカンファレンスファイナルに駒を進め、ドンチッチ中心の戦い方は見えてきたが、ブランソンをキープした上でロスターを強化すべきところで、半歩後退してしまったのが現状だ。ここでキューバンが静観するとは思えない。

ホークスとの関係が冷えていると言われるトレイ・ヤング、現状のチーム作りに行き詰まった感のあるブルズのザック・ラビーンといった名前が補強候補として挙がっているが、トレードを成功させるためにも、まずは既存の戦力の棚卸しが必要だろう。

ドンチッチの周囲を固める3&Dとアリウープのターゲットとなるビッグマンは揃っているが、ティム・ハーダウェイJr.とスペンサー・ディンウィディー、レジー・ブロックとジョシュ・グリーン、ドリアン・フィニー・スミスとダービス・ベルターンスのように、それぞれチームにとって有用だが役割が重なることも多い。チーム内の相性と対外的な市場価値を考慮しつつ、外す選手を決めなければならない。

ドンチッチを絶対的なエースとして、能力のある『脇役』だけで固めたのが今のマブスだが、昨シーズンのカンファレンスファイナル進出がピークだと判断したら、大掛かりなチーム再編に動く可能性は十分にある。その第一手を打つべきは、トレードデッドラインの2月9日までだ。マブスの動きに注目したい。