プレーオフ進出の危ういウィザーズは対価を求めてトレードに出す?
12月も終盤になり各チームが35試合前後を消化したことで、一時的な好不調ではなく、選手同士の相性など戦力の見極めもつく段階になってきました。ここからトレードデッドラインに向けて、優勝に向けたラストピースの補強に動くチームもあれば、プレーオフに進むためにチームに足りない要素を補いに行くチーム、そしてドラフト指名権を求めて動くチームが出てきます。
そんな中でウィザーズのカイル・クーズマは絶好のトレードターゲットになります。クーズマの年俸は1300万ドル(約17億円)と実力に対して割安で、トレードにおいてサラリーバランスを取るのも容易です。また、プレイヤーオプションとなっている来シーズンの契約を本人が破棄するのがほぼ確実なため、チームにフィットしなければ今シーズン限りで手放せるメリットもあります。他のチームにとって都合の良い契約条件であるとともに、ウィザーズにとってもオフに対価なしで出て行かれるリスクを負うよりも、トレードで有望株やドラフト指名権を手に入れる方が得策かもしれません。
スター選手に囲まれ優勝も経験したレイカーズ時代は、オフボールムーブとディフェンスの質を向上させ、ボールを持たなくても貢献できるウイングへと成長しました。そしてウィザーズに来ると、ブラッドリー・ビールに欠場が多い事情もあり、実質的なエースとしてプレーするようになりました。今シーズンは平均21.8得点に加えて7.6リバウンドを記録しており、エースとしてもロールプレイヤーとしても使え、様々な形で活躍が期待できる選手になっています。
7.5本の3ポイントシュートアテンプトはリーグ26位ですが、キャッチ&シュートに限ればリーグ9位で、シューターのような大きなオフボールムーブから、しっかりとフリーになってパスを呼び込めています。その上でクーズマは3ポイントシュートよりもドライブからのフィニッシュを選択することが多く、10.4得点のペイント内得点はリーグ27位と健闘しており、オフボールの質の高さでギャップを作り、中でも外でも点が取れるスコアラーになってきました。
加えてリバウンドに強く、ビッグマン相手のディフェンスもこなすため、スモールラインナップでの使い勝手の良さも特徴です。ウィザーズのディフェンスレーティングはクーズマがベンチに下がると大きく下がっており、万能なディフェンスでの貢献度も高く、プレーオフでの経験値も含めて、どんなチームでも欲しいウイングといえます。
ウィザーズにとっては欠かせない戦力ですが、東カンファレンス12位という今の成績を考えると、現状維持でシーズン後半を迎えても、何も起こらずにズルズルとシーズンが終わる可能性が高いです。ビールを手放して若手中心に切り替える決断をしない以上は、もっとも多くの対価を期待できるクーズマでチーム改革をするのは選択肢の一つです。
また、同じポジションの八村塁もオフに契約が切れますが、チームのサラリー総額を考えると両選手を残すのは簡単ではありません。サンズのジェイ・クラウダーと八村のトレードを画策したという噂もありますが、チームにとって何が最適かを決断しなければいけません。制限付きフリーエージェントになる八村の方が残しやすいこともあり、チーム成績が上向かないならばクーズマのトレードに踏み切るのは良い選択に思えます。
優勝を狙うチームにとっては安いサラリーで加えられるラストピースとして、プレーオフを目指すチームにとっては新たなエース格の一人として、理由は異なれど狙いたくなる万能性がクーズマの魅力です。現時点では噂だけが先行していますが、各チームがウィザーズの決断を待っているでしょう。