トレイ・ヤング

チーム解体を予見する報道にも動じず、心穏やかにクリスマスを過ごす

ホークスは17勝16敗で東カンファレンス7位と、なかなかエンジンがかからない。プレーオフのストレートインとなる6位のニックスまで1ゲーム差。それでも東カンファレンスの中位は似たような成績で多くのチームがひしめく混戦状態となっている。

2020-21シーズンは41勝31敗の東5位でプレーオフに進み、ニックス、セブンティシクサーズを破ってバックスが待つカンファレンスファイナルまで駒を進めた。エースのトレイ・ヤングを始め若い選手が主力となるチームは右肩上がりの成長を続けると期待されたが、現実は厳しい。昨シーズンは43勝39敗でプレーイン・トーナメントに回り、プレーオフには進んだもののヒートに1勝4敗の完敗を喫した。

このオフにはデジョンテ・マレーを獲得する補強を行ったが、マレーが期待に応える活躍をしているにもかかわらずチームは勝率5割ラインを行ったり来たりで浮上できない。この状況にヤングはフラストレーションを溜めているようだ。

事の発端は今月初め、ナゲッツとのホームゲームをヤングが欠場したことにさかのぼる。右肩に痛みを訴えたヤングは、この日のシュートアラウンドに参加せず。これに対してヘッドコーチのネイト・マクミランが「出場しないならアリーナに来るな」と言い、ヤングは自宅に帰ったという。

マクミランはこの噂を否定し、関係が良好であることを強調。ヤングも次のサンダー戦からはプレーしている。マレーはこの件について触れ、「そう思っている人がいるとしたら、明らかに僕らの試合を見ていないんだろうね。あるいは僕らに悪意があるのかもしれない。健康じゃなかっただけ、シンプルな話だよ」とコメントしている。もっとも、チームが勝てていない以上、新たにコンビを組むヤングとマレーのケミストリーについても疑いの声がある。「互いの持ち味を引き出せずにいる」という意見は、試合を見ていないか悪意があるのかもしれないが、結果が出ていない以上は完全には否定できない。

『NBC SPORTS』や『Bleacher Report』は、この問題が今も続いていると断じ、今シーズンのプレーオフで早期敗退を喫する、もしくはプレーオフ進出そのものを逃すようなことがあれば、ヤングがトレードを要求するとも予想している。

それでもチームはクリスマス前のピストンズ戦に130-105の快勝を収め、ヤングは26得点13アシストでオフェンスを引っ張った。下位のピストンズが相手とはいえ、チーム全体でアシストは30、ターンオーバーはわずか8とチームオフェンスが機能したことに「これまで多くの試合を経験して、あらゆるタイプのディフェンスを見てきた。それぞれどう対応するかの練習を重ねている。相手のディフェンスを読み、誰を見ればいいのかは分かっているつもりさ」と自信あり気に語る。

トレードについて語ることはなかったが、クリスマス前の試合とあってチーム内でプレゼント交換をしたことを明かし、「クリスマスは娘と過ごす。良い気分転換になるよ。楽しみにしている」と話して会見を切り上げた。

良いプレーができていればトレード云々で騒がれずに済む。このピストンズ戦に快勝を収めたことで、ヤングは心穏やかに過ごすクリスマスを手に入れた。