ザック・ラビーン「どんなチームにも浮き沈みはあるものだ」
ブルズは開幕からポイントガードのロンゾ・ボールを欠いて低調なスタートを切り、試合数を重ねても立て直すことができない。12月18日のティンバーウルブズ戦で150失点の大敗を喫すると、メディアを通してチームの不和が報じられた。前半を終えて65-71とまだまだ勝負は分からなかったにもかかわらず、ハーフタイムのロッカールームで何人かの選手がザック・ラビーンを感情的に批判し、チームの雰囲気は最悪なものに。後半はそれがカンフル剤になることなく126-150で敗れ、試合後にも選手たちは衝突したという。
ラビーンはこの時、「どんなチームにも浮き沈みはあるものだ。試合に勝っていれば、すべてが順調に見える。でも、同じことをやっていても負けていれば混乱して見える」とコメントし、チームの雰囲気が悪いことを認めた上で、前を向こうとしていた。
「軽率な発言はしたくない。僕は自分のプレーに取り組み、チームを助けたいんだ。僕はケガから復帰して、日々向上している。チームが負けている時は、そのプロセスが見えづらくなる。負ければ悔しいし、いろんな噂が出てくるけど、それは僕からじゃなく外部から出てくるものだ。ただ、僕らはそれに向き合わなければいけない」
そんな状況で迎えたヒート戦、シーズン最長の5連敗となればチームの亀裂はさらに大きなものになるところだったが、第3クォーターを36-20と圧倒して抜け出すと最後まで集中を切らさずにリードを守り、113-103の完勝を収めた。
ニコラ・ブーチェビッチが29得点12リバウンド、デマー・デローザンが24得点を記録。渦中のラビーンは21得点6リバウンド7アシスト、出場していた時間帯の得失点差は両チームでベストの+21だった。
ブーチェビッチは前の試合でチーム内に衝突が起きたことを否定せず、「僕らには必要なことだった。でも、そこから学ぶことができる」と語る。これは先の試合で指揮官のビリー・ドノバンが語った言葉とほとんど同じだが、2日前にはそれが『ヘッドコーチは選手たちを掌握できていない』と極めてネガティブに受け止められた。だが、快勝を収めた試合の後では、同じ言葉も全く異なる受け止め方をされる。
デローザンは言う。「僕らはケンカをしたわけじゃないんだ。殴ったり、椅子を投げたわけじゃない。僕らの対立は勝ちたい者の集まりであれば起きる類のもの。勝ちたいのに勝てなければイラつきもするし、それは何らかの形で表に出てくる。それだけのことさ」
殴らないにしても、感情的な対立は今後のチームに禍根を残すのではないだろうか? その問いにブーチェビッチは「僕らが繊細でヤワなヤツらなら、そうだろうね」と否定する。「でも、勝つために何をするか、本気で考えているからの衝突であれば、そうはならないよ」
そして、大騒ぎしたメディアをたしなめるようにラビーンは「こんなことはしばしば起きること。今回は君たちの耳に入っただけさ」と言い、こう続けた。「この問題は僕の口から出たことじゃない。デマーが言ったわけでも、ブーチ(ブーチェビッチ)が言ったわけでもない。なのに僕が問題について説明しなきゃいけないみたいになるのは納得がいかない。僕はこのチームが気に入っている。何試合か負けて気分が良くなかったのは確かだけど、何かを批判したわけじゃない」
デローザンはこう語る。「どんな素晴らしい関係でも、現在進行形なんだ。どんな人でも毎日笑ってはいられない。時には乗り越えなければいけない問題にぶち当たる。それを乗り越えることで、関係はより強化されていく。何もおかしなことはないんだよ」
まだブルズは12勝18敗と大きく負け越しており、また負けが続くようであれば同じような話が出てくるかもしれない。それでも、この1勝でチームを取り巻く雰囲気は確実に良くなったし、彼ら自身がこのドタバタ劇を経験したことで、デローザンが言うように『関係はより強化された』はずだ。